父母の離婚後の子の養育に関するルールの改正(共同親権等)について
令和6年5月に成立した民法等改正法は、父母が離婚した子どもの利益を確保することを目的として、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護・養育費・親子交流・養子縁組・財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
この法律は、令和8年4月1日に施行されます。(令和7年10月31日閣議決定)
おもな改正内容は以下のとおりです。
親の責務に関するルールの明確化
父母が親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されました。
【こどもの人格の尊重】
こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。こどもの意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
【こどもの扶養】
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
【父母間の人格尊重・協力義務】
父母は、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりませんが、次のような行為は、この義務に違反する場合があります。
●父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等
●父母の一方が、同居親による日常的な監護に、不当に干渉すること
●父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
●父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと
※父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合には、家庭裁判所における親権者の指定・変更、親権喪失又は親権停止等の審判において、その違反の内容が考慮される可能性があります(法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」6ページ)。
【こどもの利益のための親権行使】
親権は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
親権に関するルールの見直し
これまでの民法では、離婚後は父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでしたが、改正により、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになりました。
【日常の行為は一方の親で決められる】
食事や服装を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
【大切なことは父母2人で話し合う】
こどもの住む場所や進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては父母が話し合って決められます。なお、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所で父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
※暴力や虐待から避難するための引っ越し、病気や怪我で緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。
養育費の支払確保に向けた見直し
【取り決めの実効性向上】
これまでは、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親の財産を差し押さえるためには公正証書や調停調書等の「債務名義」が必要でしたが、今回の改正により、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができます。
【法定養育費】
これまでは、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ請求ができませんでしたが、今回の改正により、離婚のときに取決めをしていなくても、引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して一定額の「法定養育費」を請求することができます。また、法定養育費の支払がされないときは差押えの手続を申し立てることができます。
※法定養育費は、あくまで養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により各自の収入などを踏まえた適正な養育費の取決めをしていただくことが重要です。
【裁判手続の利便性向上】
養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として養育費の額を算定することとなります。今回の改正で、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。養育費を請求するための民事執行の手続では、地方裁判所に対する1回の申立てで財産開示手続、情報提供命令、債権差押命令という一連の手続を申請することができるようになります。
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
【親子交流の試行的実施】
家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握したうえで、家庭裁判所が調停や審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。
【婚姻中別居の場合の親子交流】
婚姻中別居の場合の親子交流に関してはこれまで規定がありませんでしたが、以下のルールが明記されました。
1.父母の協議により定める。
2.協議が成立しない場合は、家庭裁判所の審判等により定める。
3.1、2にあたっては、こどもの利益を最優先に考慮する。
【父母以外の親族とこどもの交流】
これまで父母以外の親族とこどもの交流に関する規定がありませんでしたが、今回の改正により、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は父母以外の親族とこどもの交流を実施できるように定めることができるようになります。この場合、こどもが父母以外の親族と交流するかどうかを決めるのは原則として父母ですが、例えば父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは祖父母、兄弟姉妹、他過去にこどもを監護していた親族が自ら家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。
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更新日:2026年02月20日