税額の計算方法
1.所得割の計算方法
(所得金額 - 所得控除額)× 税率 - 調整控除 - 税額控除 = 所得割額
所得金額 - 所得控除額 = 課税所得金額
2.税率
所得割の税率は一律に10%です。(市民税:6%、県民税:4%)
分離課税所得については、特別の税額計算が行われます。
(1)山林所得
収入金額 - 必要経費 - 特別控除額 = 山林所得の金額
山林所得の金額 × 10% = 山林所得の個人住民税額
(2)退職所得
(収入金額-退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額
退職所得の金額 × 10% = 退職所得の個人住民税額
(3)譲渡所得(土地・建物)
収入金額 - 資産の取得価格等の経費 - 特別控除額 = 譲渡所得の金額
譲渡所得の金額に以下の税率をかけたものが税額となります。
区分 | 税率 | ||||
市民税 | 県民税 | 合計 | |||
分離短期譲渡所得 | 一般所得分 | 5.4% | 3.6% | 9% | |
軽課所得分(国、地方公共団体等に対する譲渡) | 3.0% | 2.0% | 5% | ||
分離長期譲渡所得 | 一般所得分 | 3.0% | 2.0% | 5% | |
特定所得分(優良宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合) | 課税譲渡所得金額2,000万円以下 | 2.4% | 1.6% | 4% | |
課税譲渡所得金額2,000万円を超えた分 | 3.0% | 2.0% | 5% | ||
軽課所得分(10年超の居住用財産を譲渡) | 課税譲渡所得金額6,000万円以下 | 2.4% | 1.6% | 4% | |
課税譲渡所得金額6,000万円を超えた分 | 3.0% | 2.0% | 5% |
譲渡した資産の所有期間(譲渡した年の1月1日を基準)で、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分されます。
・所有期間が5年以下の場合 :短期譲渡所得
・所有期間が5年を超える場合:長期譲渡所得
特別控除について
次の場合、譲渡所得に対して課税の特例があり、下表の金額を差し引くことができます。
譲渡所得の内容 | 特別控除額 |
---|---|
収用等による資産の譲渡 | 5,000万円 |
自己の居住用財産の譲渡 | 3,000万円 |
特定土地区画整理事業等での譲渡 | 2,000万円 |
特定住宅地造成事業等での譲渡 | 1,500万円 |
平成21年・22年に取得した土地の譲渡 | 1,000万円 |
農地保有合理化等のための農地等の譲渡 | 800万円 |
低未利用土地等の譲渡 | 100万円 |
(4)譲渡所得(株式)
収入金額-資産の取得価格等の経費=譲渡所得の金額
譲渡所得の金額に以下の税率をかけたものが税額となります。
所得の種類 | 申告方法 | 税率 | ||
市民税 | 県民税 | 合 計 | ||
株式譲渡所得等 | 分離課税 | 3% | 2% | 5% |
配当所得等 | 総合課税 | 6% | 4% | 10% |
分離課税 | 3% | 2% | 5% |
(5)肉用牛売却所得の免税制度を適用した場合
免税制度の適用対象となる肉用牛を売却した場合、所得税及び個人住民税が免除されます。
ただし、以下の要件に当てはまる場合は売却価格に1.5%を乗じた額で、個人住民税が課税されます。
1.適用対象となる肉用牛のうち、売却頭数が年間1,500頭を超える部分の牛
2.税抜価格で100万円以上で売却された肉用種(交雑種80万円以上、乳用種50万円以上)の牛
※肉用牛の売却所得について、選択により免税制度の適用を受けない場合には、免税制度の適用対象となる肉用牛の売却所得も含めて総合課税所得となります。(農業所得)
3.税額控除
税額控除とは、一定の要件に該当する場合に、課税所得金額に税率をかけて算出した税額から、一定の金額を控除するというものです。
(1)配当控除
配当等を総合課税で申告した際に受けられる税額控除です。
分離課税を選択した配当等については、配当控除の適用を受けることはできません。
種類 | 課税総所得金額 (配当所得を含む) |
配当控除率 | |||
市民税 | 県民税 | 合計 | |||
利益の配当等 | 1,000万円以下 | 1.60% | 1.20% | 2.80% | |
1,000万円超 | 0.80% | 0.60% | 1.40% | ||
私募証券投資信託等 | 外貨建証券投資信託以外 | 1,000万円以下 | 0.80% | 0.60% | 1.40% |
1,000万円超 | 0.40% | 0.30% | 0.70% | ||
外貨建証券投資信託 | 1,000万円以下 | 0.40% | 0.30% | 0.70% | |
1,000万円超 | 0.20% | 0.15% | 0.35% |
(2)住宅借入金等特別税額控除
(3)寄附金税額控除
(4)外国税額控除
外国で得た給与や配当所得等で、その国の法令によって所得税や個人住民税に相当する税が課税された場合、その所得に対して日本の所得税や個人住民税を課税すると、国際間での二重課税となってしまうことから、それを調整する目的で外国税額控除が設けられています。
個人住民税で外国税額控除を受ける場合は、所得税を基に計算されるため、必ず確定申告をする必要があります。
【控除額の計算方法】
所得税控除限度額(A) = 所得税額 × 国外所得総額 ÷ 所得総額
県民税控除限度額:(A) × 12%
市民税控除限度額:(A) × 18%
※所得税、県民税、市民税の順に控除されます。
※外国の所得税等の額が、その年の控除限度額に満たない場合(控除しきれない場合)は、3年間の繰越控除が認められています。
4.調整控除
所得税と個人住民税では、配偶者控除や扶養控除等の人的控除額に差があることから、同じ収入金額でも課税所得金額に差が生じます。
この差額による税負担が生じないようにするための調整が調整控除です。個人住民税の所得割額からそれぞれ差し引かれます。
【調整控除額計算表】
課税所得金額 | 控除される金額 |
---|---|
200万円以下 | 以下の(A)(B)のいずれか少ない金額の5%(市民税5分の3、県民税5分の2) |
(A)人的控除額の差の合計額 | |
(B)市民税・県民税の課税所得金額 | |
200万円超 | {人的控除額の差の合計額 -(市民税県民税の課税所得金額 - 200万円)} × 5% この計算の結果が2,500円未満の場合は2,500円 |
所得税と個人住民税の人的控除等の差額表(配偶者控除及び配偶者特別控除以外)
所得控除 | 所得税 | 個人住民税 | 差額 | |
---|---|---|---|---|
扶養控除 | 一般扶養 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
特定扶養 | 63万円 | 45万円 | 18万円 | |
老人扶養 | 48万円 | 38万円 | 10万円 | |
同居老親 | 58万円 | 45万円 | 13万円 | |
障害者控除 | 普通障害者 | 27万円 | 26万円 | 1万円 |
特別障害者 | 40万円 | 30万円 | 10万円 | |
同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 | 22万円 | |
寡婦控除 | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |
ひとり親控除 | 父 | 35万円 | 30万円 | 1万円※ |
母 | 35万円 | 30万円 | 5万円 | |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |
基礎控除 | 合計所得金額2,400万円以下 | 48万円 | 43万円 | 5万円 |
合計所得金額2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | 29万円 | 5万円※ | |
合計所得金額2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | 15万円 | 5万円※ |
※調整控除の算出に用いる金額であり、所得税と個人住民税の所得控除額の実際の差額とは一致しません。
所得税と個人住民税の人的控除等の差額表(配偶者控除及び配偶者特別控除)
所得控除 | 本人の合計所得金額 | 所得税 | 個人住民税 | 差額 | |
---|---|---|---|---|---|
配偶者控除 | 一般 | 900万円以下 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 22万円 | 4万円 | ||
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 11万円 | 2万円 | ||
老人 | 900万円以下 | 48万円 | 38万円 | 10万円 | |
900万円超950万円以下 | 32万円 | 26万円 | 6万円 | ||
950万円超1,000万円以下 | 16万円 | 13万円 | 3万円 | ||
配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額 50万円未満 |
900万円以下 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 22万円 | 4万円 | ||
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 11万円 | 2万円 | ||
配偶者の合計所得金額 50万円以上55万円未満 |
900万円以下 | 38万円 | 33万円 | 3万円※ | |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 22万円 | 2万円※ | ||
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 11万円 | 1万円※ |
※調整控除の算出に用いる金額であり、所得税と個人住民税の所得控除額の実際の差額とは一致しません。
5.配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除
上場株式の配当所得や、源泉徴収ありの特定口座における上場株式の譲渡所得について、配当割額または株式等譲渡所得割額として分離課税され、証券会社等からの支払時に、市民税分も合わせて県民税として特別徴収されています。(その後、市民税分は交付金として鹿角市に支払われます。)
特別徴収されたことにより課税関係は終了し、税の申告をする必要はありません(申告不要制度)が、この所得について申告(申告選択制度)することもできます。
申告した場合は、個人住民税の所得割が算出されることとなりますので、既に特別徴収された配当割額・株式等譲渡所得割額と二重課税となってしまうことから、特別徴収分の税額を控除することができます。控除しきれない場合には、その差額が還付されます。
【控除額の計算】
市民税:配当割および株式等譲渡所得割額 × 3/5
県民税:配当割および株式等譲渡所得割額 × 2/5
6.調整額(所得割の調整措置)
調整額とは、所得割の調整措置とも言われ、個人住民税の所得割非課税基準額を若干超えるような方の措置となっています。
【調整額の計算】
調整額 = 所得割の非課税基準額 - (総所得金額等 - 算出税額※)
※算出税額は、配当控除、住宅借入金等特別税額控除、寄附金税額控除、外国税額控除、調整控除の適用後の所得割額です。
更新日:2024年05月13日