水道事業の現状と料金改定について
水道事業の現状~料金改定の背景~
〇近年、人口減少や節水機器の普及などにより水道使用量が減少しており、比例するように
給水収益も減少傾向にあります。そのため水道事業の経営が悪化し、赤字傾向が続く見通
しとなっています。
〇また、水道施設や水道管の多くが更新時期を迎え、今後の老朽管や老朽施設の更新を計画
的に進めていく必要がありますが、上記の理由などから、更新のための財源の確保も困難
となっています。
〇施設の更新も含めて水道事業経営を持続し、将来にわたって皆様に安心・安全な水道水を
提供できるよう、令和7年10月請求分(9月使用分)より水道料金を改定します。
給水人口と給水収益の推移と見込み

平成29年度 → 令和5年度(7年間) | 令和5年度 → 令和15年度(11年間) |
給水人口 : △2,026人(△6.5%) | 給水人口 : △5,321人(△21.7%) |
給水収益 : △1,087万6,000円(△2.2%) | 給水収益 : △7,901万2,000円(△16.3%) |
・今後も人口減少に伴い、給水収益も減少していく見込みです。
改定前料金における収益的収支シミュレーション

収益的収支・・・(収益)水道料金が主な収入です。
(費用)水を作り皆様に送る費用。人件費や電気・薬品代等を含みます。
損 益・・・ 収益的収支における赤字(損)や黒字(益)です。
〇令和5年度以降、慢性的な赤字決算となり、令和7年度では約1億円の赤字となる見込み
で、令和15年度には1億7千万円まで赤字が大きくなる見通しです。
改定前料金における資本的収支シミュレーション

資本的収支・・・(収入)企業債借入金などが主なものです。
(支出)浄水場や水道管など水道施設の整備費用。企業債(借入金)の元金返済なども含まれます。
積 立 金 ・・・ 一般家庭の貯金にあたるお金。
〇資本的収支の財源は、企業債のほか収益的収支における減価償却費など現金支出を伴わない費
用によって内部留保した資金を資本的収支の不足額に補填する仕組みですが、留保資金を充当
してもなお資金が不足することが見込まれ、令和10年度には積立金がなくなります。
〇水道施設の建設には多額の費用を要しますが、その建設費用は地形的要因に大きく左右されま
す。鹿角市は南北に長く広大な面積のうえ、集落が点在しているため、長い配水管や多数の浄
水場・配水池などの水道施設を有し、これらを整備・更新するために多額の企業債を発行して
います。なお、企業債未償還残高は令和6年度末で約25億4,400万円となっています。
水道管の老朽化について

「R5秋田県水道施設現況調査」より
〇昭和60年代以降に布設した水道管が多く、今後 法定耐用年数である40年を迎えます。
〇約354キロメートルの水道管のうち、約71キロ メートル(20.1%)が40年を経過しています。
〇鹿角市の水道管路の耐震適合率は、基幹管路(導水管、送水管)46.5キロメートルのうち、 16.2キロメートルで34.8%です。
※法定耐用年数とは、法律で基準としている使用できる年 数。水道管の法定耐用年数は40年とされている。
今後、大量の水道管を更新する必要があり、老朽化した上水道施設などを含めた更新費用が増大することが見込まれます。
県内水道事業との比較(県内13市及び小坂町) ※令和4年度
料金回収率(%)

供給単価(円)÷給水原価(円)
給水費用が、どの程度給水収益で賄われてい るかを表す指標です。
料金収入を主たる収入として、独立採算によ る事業運営しなければならないため、本来は 100%を超える必要がありますが、鹿角市は 94.0%で100%を下回っている状況にあります。
因みに13市の平均は97.0%です。
有収率(%)

年間総有収水量(立法メートル)
÷年間総配水量(立方メートル)
施設の稼働が収益につながっているかを表す 指標です。漏水が多いと有収率が下がります。
鹿角市では、有収率が低いことから、漏水調 査を実施して修繕を行ってきており、近年は 13市平均の77.1%に近づいてきております。
管路経年化率(%)

法定耐用年数を超えた管路延長(m)÷管路の総延長(m)
水道管の法定耐用年数40年を超えた管路延 長の割合を表す指標です。
13市の平均が20.8%ですので、鹿角市は平 均値にありますが、今後耐用年数を超える 管路が増えてくることとなり、老朽管更新 に多額の費用を要します。
管路更新率(%)

当該年度に更新した管路延長(m)÷管路の総延長(m)
当年度に更新した管路延長の割合を示して おり、管路の更新ペースや状況を表す指標 です。
法定耐用年数が40年ですので、管路更新率 は2.5%が理想ですが、鹿角市では0.14%と 低いペースでの更新となっています。
今後、法定耐用年数を超える水道管が増え ることから、計画的に老朽管更新を進める 必要があります。
県内市町村との水道料金比較

※家庭用【口径13mm】、使用水量20立方メートルで比較
※メーター使用料を徴収している市町村はその金額も含む。
最近の水道料金改定の状況
〇潟上市 (13ミリ20立方メートル)
R6.6月~ 4,763円へ 23.4%増
〇男鹿市 (20立方メートル)
R6.7月検針分~ 3,938円へ 28.3%増
〇仙北市 (13ミリ20立方メートル)
R6から3か年で段階的に4,730円24.6%増
〇にかほ市(13ミリ20立方メートル)
R6.6月~ 2,993円へ 37.3%増
※鹿角市
【改定前】 4,308円で県内で6番目に高い (県内市町村の平均より504円高い)
↓↓↓↓↓
【改定後】 5,385円で県内で2番目に高くなる (県内市町村の平均より1,530円高くなる)
料金改定後の経営見とおし
料金改定後の収益的収支シミュレーション

令和7年10月からの料金改定により令和8年度から令和10年度までは黒字となります。しかし、令和11年度から再び厳しい経営状況が見込まれることから、経営状況を鑑みながら料金の見直しを定期的に行う必要があります。
料金改定後の資本的収支シミュレーション

料金改定により、留保資金充当後の資金不足額が減少しますが、マイナス分すべてをカバーすることは困難であり、積立金を取り崩す経営が続きます。
料金改定のまとめ
水道料金改定の内容
水道事業の財政シミュレーションでは、現在の収入と比較し約30%増の収入が必要と試算さ
れています。しかしながら、昨今の物価高騰の状況のなか、市民生活や経済活動への影響も
考慮し、平均25%の改定率といたしました。
なお、水を作る経費(給水原価)は用途を問わず「1立方メートルあたり約237円」かかって
いますが、浴場用及びプール用の水道料金は、1立方メートルあたりで浴場用が「約160円」、
プール用が「約180円」と、他用途と比較して安価であったため、今回の改定で給水原価を
賄えるように見直ししております。
今後も水道事業の経営状況や収支の見とおしを分析しながら、定期的に(3~5年ごと)に料
金の見直しを検討していきます。
将来も安心できる施設づくりをすすめます。
水道事業は、市民生活や社会経済活動に欠かすことのできない大切なライフラインです。
本市には約360kmの水道管や、浄水場・ポンプ場などがあり、古くなった水道管や施設の更
新に加え、地震災害に備える耐震化などを計画的に進め、災害に強い施設づくりを着実に行
う必要があります。
「子供や孫と共に支える水道システム」を構築し、将来にわたって安定した水道水の供給を
皆さんと一緒に守っていくため、今後も水道事業へのご理解とご協力をお願いします。
更新日:2025年04月18日