令和3年第1回鹿角市議会定例会(施政方針・行政報告)
令和3年2月1日報告
令和3年第1回鹿角市議会定例会の開会にあたり、予算案及び提出議案の説明に先立ち、市政運営の基本方針及び私の所信並びに主要施策の概要を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
令和3年度は、第7次鹿角市総合計画のスタートの年であります。
新たな総合計画の基本構想では、すべての市民がふるさとに誇りを持ち、新たな時代へ自分らしくチャレンジすることで、一人ひとりが幸せで、未来に希望を抱いて暮らせるまちの実現を目指すこととし、『ふるさとを誇り 未来を拓くまち 鹿角』を将来都市像として掲げております。
第7次鹿角市総合計画には、暮らしを守る5つの基本戦略と、都市経営の視点で攻める3つの経営戦略を定め、「守り」と「攻め」の両輪で取組みを進めてまいります。地域産業の振興と、安全・安心な社会を支えることで、足元の確かな暮らしを守りつつ、挑戦に向けた基盤を作る取組みを進めるとともに、自然、産業、歴史文化など本市固有の資源が持つ不変の価値を最大限に引き出す取組みによって都市の経営力を高め、子どもや若者をはじめ、誰もが生涯にわたって活躍できる、持続可能な社会システムを構築し、「ふるさと鹿角」を次代につなげてまいります。
さて、「かづの新戦略推進予算」と位置付けた令和3年度予算についてでありますが、
「産業力の強化」については、スマート農業の導入支援や労働力のマッチングによる省力化を図るほか、収益性の高い作物への転換を促進し、担い手確保や人材育成、農地集積を進めます。また、農業経営体の経営強化や農畜産物の販路拡大による販売重視型農業を進め、産出額の拡大を図ります。観光では、「稼げる観光」をより具体化するため、観光消費額の分析を踏まえて新たな観光ニーズに的確に対応していくこととし、2つの道の駅の販売力強化と誘客促進を図るとともに、ヘリテージ・ツーリズムの推進、インバウンド対策の強化、オンラインツアーの展開など、さらなる観光産業の活性化を図ります。
「結婚応援・子育て支援」については、新婚世帯の生活基盤となる住宅の購入などにかかる経済的負担の軽減を図るほか、妊婦へのきめ細やかなサポート体制を充実させるとともに、子育て世帯の住宅改修や中古住宅の取得に対する支援など、子育て世帯を応援いたします。
「移住・定住の促進」については、これまでの取組みに加えて、さまざまな移住に関する相談に対応する態勢を強化するとともに、交流人口の拡大に向けた体験ツアーや、本市出身の若者のネットワーク構築などに取り組み、移住・定住の推進による人口構造の若返りを目指します。
一般会計の予算規模は171億8,800万円で、建設事業費の多かった前年度当初と比較して、4.1%の減となり、上水道と下水道の事業会計を除く特別会計の予算総額は85億1,681万8千円となっております。
以下、令和3年度の主要施策について、第7次総合計画前期基本計画(案)の体系に沿い、その概要を申し上げます。
はじめに、基本戦略1の「活力を生む地域産業・生業を支える」についてでありますが、
地域産業の成長支援については、市内企業の積極的な設備投資を支援するとともに、ICTやIoTなどの先端技術の導入を促進し、作業の省力化や生産性の向上を図ります。また、産業コーディネーターを中心に市内企業の連携を深め、付加価値の高い製品を生み出すことで、地域内取引の活性化を図り、首都圏や東海地区における新たな販路拡大を目指してまいります。
スマート農業の推進については、農業者の高齢化と労働力不足に対応するため、スマート農業の実証試験を行うとともに、普及拡大を促進するため、新たにドローンやアシストスーツなどの購入に対する補助制度を創設し、労働力の省力化を推進してまいります。
農業における労働力の確保については、マッチングアプリを活用し、幅広い年齢層から作物の栽培をサポートする人材を募集することで、農業に携わる人口を確保し、経営規模の維持・拡大と農業所得の向上を目指します。
農業経営体の育成強化については、農業農村支援機構を核とした経営サポート体制を強化しながら、中心経営体への農地の集積・集約化を進め、競争力の高い農業経営体の確保・育成を図ってまいります。
林業の振興については、個人での経営管理が困難となった人工林において、森林経営管理制度を活用し、森林所有者と意欲と能力のある林業経営者とのマッチングを行うことにより、計画的に集積・集約化を進め、森林資源の適切な経営管理と林業の成長産業化を図ってまいります。
農業生産基盤の整備については、末広地区におけるほ場整備事業に関連した各事業が終盤を迎えておりますが、毛馬内北部地区において、新たな基盤整備に向けた県の基礎調査事業が始まる予定となっておりますので、関係機関と連携しながら、引き続き、農地集積事業及び事業推進を図ってまいります。また、花輪大堰や八幡平の一の渡頭首工などの老朽化した水利施設については、関係者のご理解を得ながら、整備を促進してまいります。
就労・就農支援については、高校生や市出身者などの市内就職を拡大するため、地元企業の雇用開発に加え、SNSを活用した企業情報の発信や就職相談などを進めるほか、場所と時間に捉われない新しい働き方であるテレワークの導入を促進してまいります。
農林業の担い手育成と定着支援については、農業法人へのインターンシップや、市独自の研修制度である「新規就農者研修支援事業奨励金」により、新規就農の促進と早期の経営確立に向けたきめ細やかなサポートを充実させることで、新規就農者の定着を図ってまいります。
また、今後、森林管理にかかる施業の増加が見込まれることから、林業における担い手を確保するため、新たに林業の新規就業者に対する支援を行います。
産業の担い手確保については、本市の雇用環境は、コロナ禍にありながらも依然として人手不足が続いていることから、企業が行う求人活動を支援するほか、都市部や外国からの労働者を受け入れるための職場環境の整備に関して関係者と協議を進め、若年者等をはじめとした次世代を担う人材の確保を図ってまいります。
次に、基本戦略2の「元気で健やかな暮らしを支える」についてでありますが、
予防接種事業については、インフルエンザ予防接種助成の対象者に妊婦を追加し、感染予防と接種率の向上を図ってまいります。
妊産婦支援事業については、これまでの妊娠34週以降の妊婦健診等にかかる交通費や宿泊費の助成制度を見直し、新たに「妊娠出産等応援助成金」を創設し、妊婦健診や出産準備等にかかる費用を一律に助成することで、妊娠・出産を支援いたします。
また、母乳育児に不安を抱える母親を支援するため、助産師による訪問型の産後ケア事業を実施し、個々の状況に応じたきめ細やかなサポート体制の充実を図ります。
医療従事者の確保と病院機能の充実については、医師修学資金貸与制度により、将来本市に医師として勤務する人材を継続的に育成するほか、かづの厚生病院における婦人科領域を含めた外来診療の常勤体制を目指し、引き続き、医師確保対策を積極的に展開してまいります。
結婚支援については、出会いの場の創出と、結婚に向けたサポート体制の充実により、結婚の希望が叶うよう、結婚支援の取組みをさらに強化してまいります。また、結婚時の生活基盤にかかる経済的負担の軽減を図るため、新たに住宅取得や家賃等に対する助成を行うことで、出会いから結婚、そして結婚後の生活に至るまで一貫した支援を展開し、成婚者数の増加につなげてまいります。
子育て支援については、子育て世帯の経済的支援を図るため、引き続き国の保育料無償化の対象外世帯に対する助成を行うとともに、これまで設けていた副食費の助成にかかる所得制限を撤廃し、副食費の完全無償化を行います。
放課後児童クラブについては、4月の柴平小学校の開校に合わせ、花輪北児童クラブと平元児童クラブを統合し、新たに柴平児童クラブを開設するため、現在の平元小学校校舎の一部を改修いたします。
また、令和3年度に、大湯児童クラブで待機児童の発生が見込まれることから、閉園後のわかば保育園を児童クラブ専用施設として改修するための経費を支援することで、待機児童の解消を図ってまいります。
高齢者福祉については、これまで実施していた市主催の敬老会に替わる敬老事業として、新たに会食サービス支援事業に敬老月間を設定し、この期間に利用いただくことで、地域での敬老祝いを促進してまいります。また、高齢者福祉タクシー券について、対象者の要件を拡充し、世帯員の年齢にかかわらず自家用車がない世帯の80歳以上の方は全て対象とすることにより、高齢者の生活を支援してまいります。
介護予防事業については、高齢者の地域コミュニティへの参加を促していくため、地域生き活きサロンの開催要件を緩和し、新たにミニサロンの開設を促進することにより、高齢者が住み慣れた地域で元気に生き生きと暮らすことができるよう支援してまいります。
障がい者福祉については、令和3年度からスタートする「第6期障がい者計画」に基づき、障がいのある人の自立と地域における生活を支援するため、引き続き、生活介護、共同生活援助、就労継続支援などのサービスの提供のほか、移動の支援や活動の場の提供を実施してまいります。
多文化共生社会の推進については、外国人労働者の受入れが進むことを見据え、外国人住民が安心して生活を送り、地域の構成員として活躍できるよう、鹿角国際交流協会が開催する国際交流事業を通じて、外国人住民と市民とのネットワークの構築を図りながら、生活相談やコミュニケーションに必要な支援策について検討してまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウンの推進については、聖火リレーのセレブレーションを実施するほか、オリンピック期間中には、競技中継とステージイベントを組み合わせた「コミュニティライブサイト」を開催いたします。また、ショプロン市からの行政訪問団の招致に合わせ、青少年のスポーツ交流を実施できるようショプロン市と調整を進め、市民の記憶に残る交流事業にしてまいります。
次に、基本戦略3の「快適で安らぎのある暮らしを守る」についてでありますが、
水道水の安定供給については、毛馬内城ノ下地区において老朽管更新工事を実施し、計画的に水道管の更新に努めてまいります。
生活排水対策の充実については、八幡平小豆沢地区農業集落排水施設を公共下水道へ接続する事業に着手し、下水道事業経営の安定化を図ってまいります。
住環境の向上については、毛馬内住宅建設工事のほか、高井田住宅の外壁補修工事などの長寿命化対策を進めるほか、安全・安心な住まいづくりのため、住宅改修等に対する支援を実施してまいります。
空き家等の適正管理については、周辺に悪影響を及ぼしている空き家に対する注意喚起を強化するとともに、危険老朽空き家については、所有者によって自主的に解体されるよう補助制度の活用を誘導し、管理不全な空き家の解消に取り組んでまいります。
公共交通手段の確保については、予約型乗合タクシーの運行を継続するとともに、定期券・回数券の購入助成などにより、公共交通を利用しやすい環境の充実に取り組むほか、引き続き生活バス路線の運行を支援してまいります。
農村の有する多面的機能の維持については、引き続き、中山間地域等直接支払交付金や多面的機能支払交付金により、農村集落活動の活性化や農村環境の保全と機能向上に対する取組みを支援してまいります。
森林環境の保全については、皆伐後の新植や収入間伐に対する支援のほか、路網整備を支援し、森林資源の有効活用と再循環を促しながら、持続的な森林経営と保全を図ってまいります。
また、木育の推進については、森林の自然環境や木製品等にふれあう場として、植樹祭や植菌体験を引き続き実施するほか、新たに木育に関するワークショップ等を開催し、身近な森林資源の魅力に対する関心を高め、地場産材の需要喚起につなげてまいります。
快適で美しい生活環境の確保については、近年、市街地周辺における有害鳥獣の出没事例が増えてきていることから、引き続き、市民への迅速な情報提供と注意喚起に努めるほか、鳥獣被害対策実施隊を中心とした機動的な駆除態勢を確保しながら、被害の防止に努めてまいります。
次に、基本戦略4の「暮らしの安全・安心を高める」についてでありますが、
防災意識の高揚については、県による土砂災害警戒区域等の見直しや、火山における被害想定区域、災害種別ごとの避難所一覧などの防災情報を掲載する新たな「鹿角市総合防災マップ」を全世帯に配付するほか、市ホームページ等で積極的に防災情報を周知し、市民の防災意識を高めてまいります。
地域防災力の向上については、鹿角市総合防災訓練を実施するほか、自主防災組織の結成と活動の促進に積極的に取り組み、災害発生時における地域住民の防災力の向上を図ってまいります。
災害に強いまちの基盤整備については、道路橋の点検や、長野橋の補修など橋りょうの長寿命化対策を計画的に進めるほか、河川整備事業や急傾斜地崩壊対策事業などにより、引き続き、防災インフラの整備を進めてまいります。
次に、基本戦略5の「未来に羽ばたく人材を育てる」についてでありますが、
教育に関する執行方針として、後ほど教育長から申し述べます。
次に、経営戦略1の「まちに人・モノ・外貨を呼び込む」についてでありますが、
関係人口の拡充については、「鹿角家」家族会員とのマッチングによる関係性を強化するほか、新たに、高校卒業後に県外に転出した方に対し、SNSによる地域情報の配信や相談対応、地元の特産品を送付することにより、県外での新生活を応援しながら、ふるさとへの愛着を持ち続けてもらい、将来のUターンを意識づけるための取組みを進めてまいります。
また、ふるさと鹿角応援寄附については、新たなポータルサイトと返礼品事業者を追加することにより、本市の特産品を通じて、魅力の発信と寄附者の満足度向上を図り、多くの方々から本市を応援していただけるよう取り組んでまいります。
地域間交流による交流人口の拡大については、包括的連携協力協定を締結している学校法人武蔵野大学と、来年度から、官学連携による専門的研究の取組みをスタートさせます。大学生が定期的に市内に滞在することで、新たな人の流れを生み出すとともに、専門的な研究成果を地域に還元できるよう取り組んでまいります。
また、東京都葛飾区との交流については、新たに産業フェアへの参加や木材利用の可能性などを視野に入れながら、より一層の相互連携交流を推進してまいります。
移住・定住の促進については、コロナ禍にありながらも、今年度も前年を上回る移住者数が見込まれております。新年度においても、動画による情報配信やオンライン相談などを実施するとともに、本市の人口構造の若返りに向け、子育て世代を対象とした移住体験ツアーを開催するなど、新しい生活様式や価値観を的確に捉えた手法を取り入れながら、移住者のさらなる増加を目指してまいります。
魅力あるブランド農畜産品や高収益作物の生産拡大については、これまでの稲作中心から収益性の高い野菜や花きへの転換のほか、主食用米から飼料用米などの新規需要米への転換をさらに進めてまいります。
ブランド農畜産品のうち、シンテッポウユリや啓翁桜などの花きについては、全国的に需要が高まる時期での出荷が可能であるほか、冬期作物としても安定収入が見込まれることから、さらなる生産拡大を支援してまいります。
また、「かづの北限の桃」をはじめとした果樹については、新たに樹園地のマッチングと第三者への承継にかかる費用を支援し、生産面積の維持・拡大を図ることで、果樹産地としての基盤を強化してまいります。
「淡雪こまち」については、ブランド価値をさらに高められるよう、引き続き、特別栽培米による作付を支援してまいります。
かづの牛については、目標としていた飼養頭数500頭台を達成しておりますが、引き続き、頭数の維持・拡大を支援するとともに、枝肉出荷頭数100頭台の達成と早期GI登録に向け、関係機関や畜産農家と連携しながら、かづの牛のブランドの確立を目指してまいります。
付加価値を生み出す農産物加工の商品化については、農業者自らが農産加工品の開発や販路拡大を行う取組みを支援することにより、経営の高度化のほか、生産と販売の産業間連携を推進してまいります。
農畜産物の消費・販路の拡大については、新たに、地域商社との連携により、有利な販売につながる作物の掘り起こしと販売時期やパッケージなどの販売手法を検討するとともに、既存の販売チャンネルとの結び付けや販路拡大を行うことで、農家の所得向上を目指してまいります。
稼げる観光振興に向けた滞在型観光の充実については、新年度から「観光産業成長戦略」をスタートさせますが、これまでの事業の成果や課題を踏まえ、「稼げる観光」をさらに具体化し、来訪者や市民を含めた観光に関わるすべての人の満足度を高められる観光地づくりに向け、戦略的に施策を展開してまいります。
また、国立公園十和田八幡平の大自然や地域の文化・歴史に焦点をあて、観光素材としての磨き上げを行い、付加価値の高いコンテンツとして開発するほか、市内を4つのエリアに分け、それぞれの特徴を活かした質の高い着地型旅行商品の企画・造成に取り組んでまいります。
DMOによる国際的観光地としての受入態勢づくりについては、デジタルマーケティングによる科学的なデータ分析を踏まえ、グローバルな発想と未来志向に立った観光戦略のもと、DMOを推進役とし、満足度の高い観光地づくりを目指すことにより、観光消費額増加と収益力強化につなげてまいります。
また、インバウンド対策として、市民のコミュニケーション能力の向上や観光ガイドの魅力を高めていくため、新たな手法による講座を開催するなど、ガイドの質の向上と人材確保に努めてまいります。
次世代産業の創出については、産業団地を中心に、本市の立地環境を生かした企業誘致を推進するとともに、コロナ禍で加速度的に高まっているテレワーク需要に対応するため、まちなかオフィスにリモートワーク環境を整備し、自然豊かな観光地である本市の魅力をPRしながら、企業と人材の誘致に取り組んでまいります。
次に、経営戦略2の「『世界遺産のまち』をつくる」についてでありますが、
世界遺産登録の推進については、本年6月から7月に開催が予定されている世界遺産委員会において、大湯環状列石を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録が審議されることから、構成資産がある4道県及び関連市町と連携し、登録の実現を目指してまいります。
また、世界遺産登録が決定した際には、登録記念事業などを実施し、市民と一緒に登録を祝うとともに、本市への誘客促進を図ってまいります。
ヘリテージ・ツーリズムについては、「大湯環状列石」をはじめとする市内の豊富な文化資源を活用したプレミアムツアーを継続して実施するとともに、文化・歴史コンテンツを軸とした新たなオンライン体験プログラムを造成し、世界に誇れる本市の文化遺産や歴史の魅力を発信してまいります。
次に、経営戦略3の「まちの経営力を高める」についてでありますが、
未来技術の導入については、デジタルツールによる市民サービスの向上を図るため、行政手続のオンライン申請などのデジタル化に向けた取組みを進めるとともに、市議会・会議等にタブレット型パソコンを導入し、ペーパーレス化を積極的に推進してまいります。
自治会活動の充実については、地域活動の維持と活性化を図るため、地域づくりリーダー研修会の開催や、自治会元気づくり応援補助金などによる支援を継続するとともに、集落支援員のサポートによる集落の課題整理や話し合いなどを通じて、地域資源を活用した集落の主体的な取組みが進められるよう、引き続き支援してまいります。
以上が、令和3年度に取り組もうとする主な施策であります。
次に、諸般の報告について申し上げます。
はじめに、総務関係についてでありますが、
「新型コロナウイルス感染症対策」につきましては、首都圏及び大都市を中心に感染が急激に拡大したことから、先月、1都、2府、8県に国による緊急事態宣言が発出されました。こうした状況を踏まえ、本市では、県の対応と足並みを揃え、市民に対し、緊急事態宣言の対象地域との往来は、真にやむを得ない場合を除き、避けていただくよう、市ホームページやメール配信サービスで周知しております。
現時点で、大館保健所管内では、感染の拡大及びクラスターの発生は確認されておりませんが、市では、気を緩めることなく、常に緊張感を持って、感染防止対策に取り組んでいるところであり、市民の皆様におかれましても、引き続き「相手との距離の確保」や「マスクの着用」、「手洗いうがい、咳エチケット」、「三密の回避」などを徹底してくださるよう、ご理解とご協力をお願いいたします。
第7次鹿角市総合計画の策定につきましては、「かづの未来会議」や市議会でいただいた意見を踏まえ、前期基本計画(案)をとりまとめ、市総合戦略(案)とあわせ、1月19日から2月17日までの期間でパブリックコメントを実施いたしております。
今後、パブリックコメント等での意見を踏まえて計画の最終調整を行い、2月中に策定するとともに、住民説明会を開催し、計画の周知を図ってまいります。
防災体制の充実につきましては、去る1月13日に、市と市内の道の駅の指定管理者である、株式会社かづの観光物産公社、ノリット・ジャポン株式会社との3者で「災害時における支援協力に関する協定」を締結いたしました。
これにより、大規模災害の発生時には、市の要請により「道の駅」に避難所が開設され、避難した方にトイレや飲料水、食料品等が提供されるほか、帰宅困難となった観光客に対し、利用可能な交通手段等の情報提供が行われることから、災害時における市民の安全・安心の確保と、観光都市の災害対応力の向上につながるものと捉えております。
ふるさと鹿角応援寄附につきましては、12月末までの寄附件数は12,110件、寄附額は約1億5,666万円で、昨年同期と比較し、件数及び金額とも1割程度の減少となっております。家庭用リンゴなど比較的安価な返礼品を選択する方が多く、寄附単価の減少につながったものと捉えておりますが、アップルパイやリンゴ、きりたんぽ鍋などは非常に高い評価を受けているほか、今年度は14事業者が返礼品事業者に加わり、魅力ある返礼品が増えてきておりますので、引き続き、事業者と連携を密にしながら、より多くの方々から本市を応援していただけるよう取り組んでまいります。
次に、民生関係についてでありますが、
健康福祉に関する計画策定につきましては、乳幼児から高齢期まで生涯を通じて元気で暮らすことができるまちづくりを推進するために、健康福祉分野における指針となる「第6期障がい者計画」、「第6期障がい福祉計画・第2期障がい児福祉計画」、「第2期未来へつなぐ子ども計画」、「第3次健康かづの21計画」及び「第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」については、現在、パブリックコメントの実施や、計画の最終調整を行っているところでありますが、3月末までに計画を策定することとしております。
子育て支援につきましては、今年度末で、尾去沢保育園、わかば保育園、杉の下保育園が閉園となりますが、令和3年度の保育園及び認定こども園の入園予定者は750人で、昨年に比べ4.58%の減となっておりますが、延長保育や障がい児保育の対応など、きめ細やかな保育の提供に努め、待機児童ゼロを継続してまいります。
新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、全市民を対象に、個別に接種券を送付し、2回の接種を行う予定でありますが、重症化リスクの影響等を踏まえ、まずは医療従事者等へ接種したのち、高齢者、基礎疾患を有する者へと、順次、ワクチン接種を進めてまいります。
国では、高齢者への接種券の発送時期を3月中旬としていることから、国で示すスケジュールどおりに遅滞なく実施できるよう、医師会や関係機関と協議を重ねながら、ワクチン接種に向けて体制を整えてまいります。
介護保険につきましては、高齢化の進展と世帯構造の変化により、介護サービス需要がさらに増加し、多様化していくことが予想されることを踏まえ、策定中の第8期介護保険事業計画において、来年度から介護保険料の改定を行うことといたしました。
去る1月27日、29日には、市民説明会を開催し、介護保険料の改定について説明をいたしたところでありますが、引き続き、市ホームページや広報等による周知を図ってまいります。
次に、農業関係についてでありますが、
令和2年産の主食用米の作付け状況につきましては、「生産の目安」である2,074ヘクタールに対し、作付け面積は、134ヘクタール上回る2,208ヘクタールとなり、本市全体の収穫量は1万2,600トンと公表されております。
令和3年産米の「生産の目安」については、全国的な米の需要に加え、在庫の動向や秋田県産米のシェア率などを勘案し、これまで以上に需要に見合う生産を行う必要があることから、鹿角地域農業再生協議会では、飼料用米などへの作付の転換によって需給バランスを保つこととし、昨年に比べ81ヘクタール少ない1,993ヘクタールと定め、JA等に提示しております。
リンゴにつきましては、12月末での集荷量は前年比121%と増加しているものの、全国的な豊作による他産地との競合に加え、コロナ禍による需要の落ち込みで、販売額は前年度を下回る見通しとなっております。好評を得ている、ふるさと納税の返礼品への活用など、関係機関と連携しながら、さらなる販売強化を図り、果樹農家の所得向上につなげてまいります。
次に、観光関係についてでありますが、
令和2年の観光客数と宿泊客数につきましては、コロナ禍により、観光客数は約89万人で前年比約50%の減、宿泊客数は約16万人で前年比約30%の減となっております。全国的に緊急事態宣言が発出された4月、5月は、前年同月の約10%にまで減少しましたが、市独自の観光応援事業を開始した7月からは、前年同月比で約70%から90%まで回復し、11月には前年同月比で約120%の入り込みとなり、支援の効果が表れたものと捉えております。
引き続き、現在出されている緊急事態宣言に伴う観光客数の減少や宿泊客のキャンセル状況を的確に把握し、コロナ禍の影響を最小限に食い止める取組みを積極的に進めてまいります。
鹿角観光ふるさと館「あんとらあ」の改修工事につきましては、今年度ですべての工事が完了し、予定どおり4月にグランドオープンを迎える運びでありますので、同時期から開催される東北デスティネーションキャンペーンと合わせて、誘客を図るイベントを積極的に展開してまいります。
次に、商工関係についてでありますが、
市内の雇用情勢につきましては、ハローワーク鹿角管内の11月末現在の月間有効求人倍率は1.30倍で、前年同月比マイナス0.47ポイントと大きく減少しております。コロナ禍により、飲食店・宿泊業、製造業等の求人が大きく減少したほか、人口減少や定年延長等により求職者数が減ったことによるものと捉えております。
新規学卒者就職内定状況につきましては、鹿角管内の高校を3月に卒業見込みの生徒のうち、縁故、公務員を除いた就職希望者72人中、就職内定者65人、内定率90.3%で、昨年より早いペースで内定が進んでおります。内定者のうち県内就職希望者が42人、うち鹿角管内は29人となっており、管内の内定率は昨年より9.4ポイント減少しておりますが、コロナ禍により製造業などでの求人が減少したことが主な要因と考えております。
新エネルギー関係につきましては、電力市場価格の異常な高騰により、仕入価格と小売価格に大幅な乖離が生じる状況となり、地域電力小売会社・かづのパワーの事業を休止せざるを得ない事態となりました。電力の地産地消、電力資金の域内循環による地域活性化を目指したかづのパワーの取組みが、全く想定外の事態により休止に追い込まれたことは、痛恨の極みであります。
しかしながら、本市が再生可能エネルギー自給率300%を超える地域であることに変わりないことから、豊富な資源を活かした活性化策について、来年度、あらためて検討してまいります。
コロナ禍における経済・雇用対策につきましては、商工関係では、12月末現在、コロナ対応資金の借入に対する利子補給助成が120件、地域雇用維持支援金24件、事業継続支援金180件の申請を受け付けており、プレミアム付商品券・飲食券は、予定数を完売いたしました。
観光関係では、本市独自の観光応援事業として展開している3,000円お得な宿泊プラン・ゴールドプランについては、12月末現在、約2万9,000泊分が販売されております。
次に、建設関係についてでありますが、
都市の良好な景観形成を図る景観計画の策定につきましては、パブリックコメントにより素案に対する意見を募集するほか、2月18日には住民説明会の開催を予定しており、3月末までに計画を策定することとしております。
次に、教育関係についてでありますが、
小・中学校の再編につきましては、今年度をもって閉校となる花輪北小学校と平元小学校の閉校式を、それぞれ3月19日に執り行うこととし、準備を進めております。
また、統合校の「柴平小学校」の開校式は、4月8日に開催する予定としており、これをもって、平成28年度から実施してきた学校等再編計画は完了となります。
コロナ禍により中止した令和2年度の成人式につきましては、恩師からのメッセージ動画を視聴できるようにした記念メッセージシートを作成し、対象者297人へ贈呈いたしました。成人式の中止は残念でありましたが、市内に居住している成人式実行委員15人の協力のもと、コロナ禍にあっても工夫した内容で行うことができたものと考えております。
第76回国民体育大会冬季大会スキー競技会につきましては、本日、国体委員会が開催され、午前中には開催の可否について決定する見込みであるとの報告を受けております。いずれにいたしましても決定次第、記者会見を開き、全日本学生スキー選手権大会も合わせて報告したいと考えております。
次に、本定例会に提案する補正予算の概要についてでありますが、
一般会計では、本日採決をお願いする新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費の追加、市道および各施設等の除雪委託料の追加のほか、実績見込みによる各事業費の調整を中心に編成いたしました。
その結果、補正額は合わせて4,158万9千円の増額となり、補正後の予算総額は231億4,562万2千円となりました。
このほか、介護保険事業特別会計では、地域密着型介護サービス給付費の追加、上水道事業会計及び下水道事業会計では人件費の調整など、実績見込みに基づく調整を中心にそれぞれ補正を行っております。
本定例会には、人権擁護委員の諮問案件6件、市道案件1件、条例案件17件、補正予算案件5件、当初予算案件6件、あわせて35件のご審議をお願いいたしております。
詳細につきましては、それぞれの担当部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご可決賜りますようお願いいたします。
この記事に関するお問い合わせ先
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更新日:2024年02月01日