令和3年第4回鹿角市議会定例会(施政方針・行政報告)
令和3年9月3日報告
令和3年第4回鹿角市議会定例会の開会にあたり、私が市長に就任して初めての市議会定例会でございますので、予算案及び提出議案の説明に先立ち、私の市政運営につきまして、その所信の一端を申し述べさせていただき、議員各位をはじめ市民の皆様にご理解とご協力を賜りますことをお願い申し上げます。
まずは、7月に発生した静岡県熱海市の土砂災害をはじめ、8月の九州北部および広島県や青森県むつ市など、全国的に多発する大雨被害によりお亡くなりになられた方々に対しまして、衷心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、いまだ行方の分からない方々の早期発見、そして被災された皆様のご健康と一日も早い復興を重ねてお祈り申し上げます。
さて、私は、6月の市長選挙におきまして、市民の皆様の温かいご支援により、鹿角市政を担わせていただくという栄誉を賜りました。心から御礼を申し上げますとともに、来年4月、市制施行50周年という節目を迎える「鹿角市」の市長としての重責に身の引き締まる思いをいたしており、市民の皆様の負託に応えられるよう、これからの4年間、市民福祉の向上と市政発展のために全身全霊を捧げる覚悟であります。
はじめに、このたび、大湯環状列石を含む北海道・北東北縄文遺跡群が世界遺産一覧表に登録されましたことを、全市民の皆様と共に喜びたいと思います。
この世界遺産登録は平成18年に青森県が「青森県の縄文遺跡群」を、本市を含む秋田県が「ストーンサークル」を文化庁に提案するところから始まり、それから16年という年月を費やして登録まで漕ぎ着けたものであり、改めて、これまでの長きにわたる関係各位のご尽力に、深く感謝を申し上げます。
これにより、本市では、大日堂舞楽、花輪祭りの屋台行事「花輪ばやし」のユネスコ無形文化遺産に続き、世界に認められた3つの遺産を持つことになり、今後、国内外から多くの観光客が訪れることが期待されるほか、世界でも類を見ない貴重なまちとして注目されますので、大変喜ばしく、ありがたいことであるとともに、この地に住む者として、かけがえのない遺産を後世にしっかり受け継いでいかなければならないことを、重く受け止めております。
また、私は、縄文時代とその文化の持つ意義について、より深く掘り下げてみる必要があるのではないかと考えております。縄文時代は、1万年以上にわたって平和で豊かな暮らしが続いた時代であり、輝かしく、世界に誇るべき時代であり、文化でもあると考えられ、今回の北海道・北東北縄文遺跡群の世界遺産登録の本当の意義は、実はここにあるのではないかと、私は考えております。
さらに、「大湯環状列石JOMON体感促進事業」において、委員として参加をいただいております藻谷浩介氏は、ご承知のとおり「里山資本主義」で知られておりますが、その提唱とされる中心となるのは、考えられる未来にわたって持続可能な森林資源を育てるということにあり、これはある意味、縄文時代の文化、縄文人の暮らし方に通じるものがあると私は考えております。
私はこれまで、山林を主な仕事場としてまいりましたので、森林資源には大きな魅力と可能性を感じておりますが、こうした持続可能な資源を育て、それを生かしたまちづくりを実現していくためには、課題やハードルが多いことも事実であります。しかしながら、本市が単独ではなく、近隣の市町村あるいは隣接する県との共同プロジェクトとして動き出すことができれば、実現の可能性が見えてくるものと考えております。
私は、市長選挙に臨むにあたり、「北東北ゴールド構想」を提案いたしました。鹿角は、かつて金・銀・銅を豊かに産出した北方無比の天啓の地であり、北東北の中心であったように、これからも中心であり続けなければならないと考えております。「北東北ゴールド構想」には、これらの歴史・伝統・文化の背景と、未来への展望を込めております。
こうした中心理念と展望を持って、私は、公約に5つのビジョンを掲げておりますが、市政の推進にあたっては、その策定の過程で多くの市民の皆様のご意見が反映された第7次鹿角市総合計画との調和を図りながら、公約の実現を目指してまいりますので、以下、その基本方針について、順次申し上げます。
1. 市民との対話・交流を盛んにし、透明で活力ある市政を実現
はじめに、「市民との対話・交流を盛んにし、透明で活力ある市政を実現」についてでありますが、
選挙期間中、市内をくまなく駆け回り、多くの市民から、まちづくりに関するさまざまなご意見を頂戴しております。これまでの市政を評価する声が上がる一方で、地域経済の低迷に加え、高齢者福祉や子育て支援の充実など直面する諸課題に対する不安のほか、「将来を期待できる鹿角市にして欲しい」といった多くの思いを実感してまいりました。
こうした市民の声や思いを市政に反映させるため、私は、市民との対話を市政運営における基本姿勢に据え、対話を通じて交流を促進し、鹿角の総力を結集させていくことによって、透明で活力あるまちづくりに取り組んでまいります。
2. 県・隣県・国とのパイプを強化し、北東北経済圏の確立
次に、「県・隣県・国とのパイプを強化し、北東北経済圏の確立」についてでありますが、
地方分散型社会に移行する潮流の中で、新しい人の流れと人と地域のつながりを確保するとともに、情報通信産業のほか、地熱、水力、風力といった豊富な電力資源を最大限に生かした再生可能エネルギーの活用などによる、付加価値の高い新たな産業を創出するため、隣県や他の市町村、各種団体等と情報共有を図ってまいります。
また、北東北3県の中央に位置する地理的条件を活かし、近隣市町村との連携を強化することにより、地域経済の成長に結び付けてまいります。
農林業については、安定的な経営と後継者の確保を図るため、複合化や多角化を図るための新たな設備導入やICTの活用を支援するほか、冷涼な気象条件を生かした野菜、花き、果樹や畜産等を組み合わせた複合経営の推進と、かづの北限の桃、かづの牛、淡雪こまちなどブランド作物の生産拡大を図りながら、所得の向上に資する取組みを展開してまいります。
商工業については、新商品の開発、販路拡大、情報発信、賑わいづくりなどに意欲的に取り組む事業者や組織等を支援するとともに、生産性や付加価値の向上のための先端技術や設備の導入などに対して、ハード・ソフトの両面から支援をしてまいります。
観光については、恵まれた観光資源や歴史文化遺産を生かした滞在型観光を確立させることにより、交流人口の拡大と賑わいの創出を図り、外貨獲得を目指してまいります。
3. 医療・福祉を充実させ、誰もが安心して暮らせる鹿角をつくる
次に、「医療・福祉を充実させ、誰もが安心して暮らせる鹿角をつくる」についてでありますが、
本市では、65歳以上の高齢者人口が、令和3年をピークに減少に転じますが、令和7年には、いわゆる団塊の世代全てが75歳以上になることから、後期高齢者人口が増加し、これまで以上に介護ニーズが高まるものと予想されます。高齢になっても、住み慣れた地域で可能な限り自立した日常生活を営むことができるように、介護予防や健康づくりの取組みを強化することで健康寿命の延伸を図るとともに、必要な福祉サービスの充実と提供を進めてまいります。
医療については、産婦人科などの医師不足の解消が最優先の課題でありますので、地域に必要な医療の維持・充実のため、医療機関等と連携しまして医師確保策の取組みを強化するとともに、必要な時に適切な医療を受けられる地域医療体制の構築に努めてまいります。
また、本市の将来を担う若者が希望を持って暮らすことができるよう、働く場を確保するほか、結婚・出産・子育てができる環境づくりと支援体制のさらなる充実を図ってまいります。
4. 女性と若者の声を反映させ、共同して未来に輝く鹿角をつくる
次に、「女性と若者の声を反映させ、共同して未来に輝く鹿角をつくる」についてでありますが、
本市の人口動向を見ますと、若年層や子育て世代の女性が市外に流出している状況にあり、これから先、将来にわたって本市が持続可能で活力のあるまちであり続けるためには、特に女性と若者に選ばれるまちづくりが重要となります。
そのためには、まず、進学や就職で一旦市外に転出した若い世代に、「ふるさとに戻ってきたい」と思ってもらえるよう、高校卒業までの間に、郷土を愛する心を育むことが重要であると考えており、キャリア教育やふるさと教育を推進しながら、職業観や郷土愛の醸成につなげていくことにより、ふるさとを誇り、地域に貢献しようとする強い意思を育む教育をさらに進めてまいります。
また、鹿角の歴史、産業、伝統、文化等について学ぶ機会を創出するほか、域学連携による大学などの知の活用や学びの実践を通じて、その成果を地域に還元する仕組みづくりにより、若者の人材育成に努めてまいります。
地域を支える人材については、人口減少や少子高齢化の進展に伴い、地域活動の維持が困難になっていくことやコミュニティが弱体化することが懸念される状況となっております。
このため、コミュニティの維持に欠かすことができない自治会の基礎的な活動や活動拠点の整備を支援するとともに、集落の再生や地域づくりを担う地域人材等の確保・育成を進めてまいります。
また、地域の貴重な伝統文化の保存継承により、地域文化の向上を図るとともに、芸術・文化に親しむ機会を創出することで、新たな担い手の育成につなげてまいります。
5. 豊かな自然と伝統文化を活かし、品格と風格のある街をつくる
最後に、「豊かな自然と伝統文化を活かし、品格と風格のある街をつくる」についてでありますが、
十和田八幡平国立公園の豊かで美しい自然と、世界文化遺産等の魅力が調和した、品格と風格のあるまちにしていくために、都市基盤の整備を進めてまいります。
土地利用については、都市計画マスタープランや景観計画を基本に、中心市街地の活性化に取り組みながら、地域経済の維持・増進に寄与するコンパクトなまちづくりを推進します。
道路交通網については、交通量を基に整備の必要性を検討し、幹線道路の整備を進めるとともに、冬期間の安全かつ円滑な除排雪体制を維持し、道路交通の安全を確保してまいります。
また、上下水道施設の計画的な更新と維持管理を進めるほか、消防・救急・防災に関する施設や資機材等を計画的に整備し、市民の安全・安心を確保してまいります。
居住環境については、公営住宅や公園の適正な維持管理を行うとともに、老朽化した公共施設については、存続や廃止のあり方を検討し将来的な財政負担の軽減を図ってまいります。
加えて、観光・教育文化・スポーツの活動拠点との連携を図りながら、さまざまな世代や都市との交流を促進し、賑わいを創出してまいります。
以上、市政運営に臨む所信の一端、並びに、市政の基本方針について申し上げましたが、私は、市民との対話を重視し、いただいた市民の声や意見を集約し、地域課題の優先順位を見極め、効果的に施策を推進してまいりたいと考えておりますが、そのためには、国・県とのパイプを強固にすることと、近隣自治体や関係団体との結び付きを強めていくことが重要であり、その考えは、市長就任後、一層強くしております。
市長として目指すところは、第7次総合計画に掲げる将来都市像の実現による本市の発展と市民福祉のさらなる向上でありますので、議員各位をはじめ、市民の皆様とともに議論を深め、鹿角の英知を結集し、全力で市政を前進させてまいりますので、ご指導ご鞭撻を心からお願い申し上げます。
次に、諸般の報告について申し上げます。
はじめに、総務関係についてでありますが、
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、全国的にこれまでにない感染拡大が続く中、県内でも8月以降に新規感染者が急増し、感染が急速に拡大している状況にあります。
県では、県外との往来に起因し、家族や職場、学校等に感染が広がる感染例が多いことに加え、複数のクラスターの発生や、デルタ株などの変異株による陽性疑いの急増と病床の使用率などを踏まえ、8月11日から県独自の感染警戒レベルを、これまでの「レベル3」から「レベル4」に引き上げております。
これを受けて、本市では、市民に対して、緊急事態宣言等の発出されている地域との往来自粛はもとより、新たに、「県外からの移動者や普段一緒にいない人との会食、大人数・長時間にわたる会食は避けていただく」ことなど、感染リスクの回避について、市ホームページやメール配信サービス、コミュニティFMを通じて呼びかけております。
コロナ禍の収束が見通せず、予断を許さない状況が続いておりますので、市といたしましても危機感を一層強く持ち、感染予防対策に取り組んでまいりますので、引き続き市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
市民との対話行政につきましては、市民の皆様から市政に対する意見、提言、要望等を積極的に伺い、市民ニーズや地域課題の詳細な把握と、市政への関心を高めてもらうことを目的として、直接市民との対話のキャッチボールを行う、「いつでも市長室」をスタートいたしました。
まちづくりの原点は、市民一人ひとりの思いと行動を結集して地域を住みやすくすることでありますので、寄せられたご意見を地域活性化のための施策に反映させながら、市政運営を進めてまいります。
過疎計画につきましては、今年度から令和7年度までを計画期間とする「鹿角市過疎地域持続的発展計画」の策定案件を今定例会に提案いたしておりますが、豊かな地域資源や地域の特色を生かしたさまざまな施策を積極的に講じていくとともに、持続可能な地域社会の形成と地域活力のさらなる向上が実現するよう、計画的に施策を進めてまいります。
中心市街地の活性化につきましては、第7次総合計画に掲げた「コンパクトなまちづくり」を具現化するため、現在、中心市街地活性化の目標と具体的な事業を示す「中心市街地活性化プラン」の策定を進めており、去る8月27日に、市民団体や関係団体で組織する「中心市街地活性化推進協議会」を開催いたしております。中心市街地の活性化に取り組む各主体や多くの市民の方々に関わっていただき、さまざまな意見を伺いながら、中心市街地活性化に向けた検討を重ねることで、実効性のある計画を策定してまいります。
出会い応援につきましては、去る7月18日に開催した出会いイベントには、男性10人、女性8人が参加し、寄せ植え体験やテーブルトークなどで交流を深め、この中から5組のカップルが誕生しております。引き続き、出会いの機会の提供と、結婚生活の支援などにより、結婚して子どもを育てやすい環境づくりに取り組んでまいります。
移住促進につきましては、去る8月1日に、昨年に続いて、子育てママを対象としたオンライン移住相談会を開催し、主に首都圏に在住する子育て中のシングルマザー12人が参加いたしました。移住後の本市での生活を実感していただくため、市内3事業所からご協力をいただき、子育てしながら働くことができる事業所の仕事の内容などを紹介し、参加者からは好評を得ておりますので、引き続き、本市の認知度向上とさらなる移住者の呼び込みに繋がりますよう、きめ細かな情報発信と移住相談に取り組んでまいります。
関係人口につきましては、取組み開始から4年目を迎えた「鹿角家(かづのけ)」の会員の中から、本市への初めての移住が実現しましたが、SNSを活用して、旬な情報や地域の話題など、本市の魅力を継続して発信したことにより、本市への愛着が育まれ、移住につながったものと考えております。鹿角家の会員登録者数は、8月31日現在、221人となっておりますが、引き続き、情報発信を強化し、関係人口の拡大を図ってまいります。
次に、民生関係についてでありますが、
低所得世帯及び子育て世代に対する経済的支援につきましては、新型コロナウイルス対策生活応援事業については、8月31日現在で、対象となる市民税非課税世帯及び公務員支給対象者を除く児童手当受給世帯の3,915世帯、6,065人に対し、1人につき1万円分のプレミアム付き商品券を交付しております。11月30日が申請期限となっておりますので、申請漏れがないよう、引き続き周知を図ってまいります。
医師確保対策につきましては、市内で、新たに小児科と呼吸器内科の診療所の開業を予定している医師2名がいることを受け、市といたしましては、地域医療の充実につながる診療所の開業を支援するため、関連予算を本定例会に提案いたしております。
東京2020パラリンピック鹿角市採火式につきましては、去る8月12日に、大湯ストーンサークル館縄文広場を会場に、年齢、性別、国籍、障がいの有無、そして一人ひとりのあらゆる違いを超え、お互いの価値や輝きを認め合う共生社会の実現を目指して開催いたしました。世界文化遺産に登録された大湯環状列石にちなんで、秋田県立比内支援学校の生徒によって採火された縄文の炎は、現在開催中のパラリンピックの聖火の一部となっております。
放課後児童クラブにつきましては、学校周辺や児童クラブまでの道路周辺でクマの出没や目撃情報が相次いでいることを受け、去る8月25日より、まちなか児童クラブと柴平児童クラブに、学校から児童クラブへ移動する児童に同行する移動支援員を配置し、児童の安全確保に努めております。
新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、7月末までに、接種対象の全年代の対象者に接種券を送付し、順次接種を進めているところでありますが、8月31日現在の接種状況は、優先接種を実施した65歳以上の高齢者については、2回目の接種まで終えた方が89.8%となり、全年代の対象者の接種状況については、1回目の接種を終えた方が77.6%、2回目の接種まで終えた方が55.1%となっております。
対象者全体の接種率を約8割と想定して接種計画を進めており、現在は集団接種と市内医療機関での個別接種を並行して実施しておりますが、集団接種については9月26日までの予定で、それ以降は、個別接種で接種を進めることにより、10月末までの完了を見込んでおります。
引き続き、接種希望者が安心してワクチン接種ができるよう、きめ細やかな情報提供に努めながら、関係機関と連携して接種を進めてまいります。
次に、農業関係についてでありますが、
水稲につきましては、7月に好天と高温が続いたことから、生育が例年より早まり、出穂期も平年より3日から5日ほど早まっております。今後は、収穫期に向け、病害虫防除の確実な実施と、適期刈取りによる品質確保を周知してまいります。
果樹につきましては、モモについては、8月中旬に始まった「あかつき」に続き、主力品種の「川中島白桃」の収穫が始まっておりますが、夏の好天が続いたことで糖度、大きさ共に良好でありますので、本市が誇る「かづの北限の桃」の美味しさを市場関係者や消費者へより強くPRすることで、さらなるブランド化を推進してまいります。
リンゴについては、4月中旬の霜による被害が大きかった園地では、中心花の8割程が凍結したことや、王林や秋田紅あかりなどの品種で、変形やサビの障害が例年より多く見られたことにより、秀品率の低下が懸念されておりましたが、凍結被害を免れた中心花以外の花に結実させる技術によって例年以上の着果数を確保できております。今後は、秀品率をできるだけ高められるよう、収穫期までの適正な栽培管理について、関係機関と連携して周知してまいります。
キュウリやトマト、枝豆などの野菜につきましては、8月中旬の曇天の影響により、一時的に出荷量や秀品率がやや減少したものの、おおむね平年並みで推移しております。
また、本市の新たなブランド産品であるシンテッポウユリについては、高温少雨により、一部で葉の変色がみられたものの、昨年に比べて良好に生育していることから、今後は、秋彼岸需要に向け、安定した品質と収量が確保できるよう、関係機関と連携して生産振興を図ってまいります。
「かづの旬食フェスタ」につきましては、これまでの「かづの元気フェスタ」を、今年度からは、鹿角産農畜産物の販売にこだわった「かづの旬食フェスタ」にリニューアルし、9月12日、19日の両日に、市内2つの道の駅で開催する準備を進めておりましたが、県内や隣県における新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえまして、残念ではありますが、今年度の開催を中止することとしております。
森林経営管理につきましては、森林経営計画管理制度に基づき、令和元年度から、順次、地区ごとに経営管理意向調査や林地調査等を進めてきておりますが、初年度に意向調査等を実施した玉内、小豆沢地区においては、生産性が見込まれる経済林の集積が整ったことから、意欲と能力のある林業経営者に再委託するため、経営管理実施権の設定を受ける民間事業者の募集を開始しており、引き続き、制度の目的に即して森林の適正管理を進めてまいります。
有害鳥獣被害防止につきましては、クマの目撃と食害等の通報件数については、8月31日現在で138件、被害件数は49件と、出没の多かった昨年よりは少ないものの、例年並みの件数となっており、特に7月以降に急激に増加し、花輪市街地や学校周辺で複数回目撃されるなど、人里での出没が多くなっている状況にあります。
これを受け、市内の全小・中学生に対し、消音機能付きの「クマよけ鈴」を貸与することといたしました。
今後、収穫期を迎える果樹を中心に被害が懸念されることから、引き続きメール配信サービスによる迅速な情報提供のほか、関係機関との連携によるパトロール等を実施し、人身事故や農作物の被害防止に努めてまいります。
次に、観光関係についてでありますが、
大湯環状列石JOMON体感促進事業につきましては、文化庁の補助事業の採択を受け、今年度から、大湯環状列石の魅力をよりリアルに、より深く伝える体験プログラムを造成していくために、7月13日に専門家から成る検討委員会、7月27日に市内の観光関係者、史跡関係者等で組織する推進協議会を開催し、取組みをスタートさせたところであります。
当初は今年度から3カ年の計画としておりましたが、文化庁との協議により、2年目、3年目に予定していた事業を今年度に前倒しして進めることとなりましたので、世界遺産登録を絶好の機会と捉え、取組みを加速させてまいります。
また、去る7月10日に、世界文化遺産の登録直前企画として、大湯環状列石の魅力を発信するオンラインツアーを開催したほか、今後、9月12日に第2回のオンラインツアーを開催することとしておりますので、コロナ禍にあっても、本市が世界に誇る文化遺産を体感することのできる取組みを展開してまいります。
コロナ禍における観光関連事業につきましては、プレミアム観光券事業については、北東北3県の居住者を対象に、4,000円分の宿泊券2枚と500円分の観光券4枚をセットにした観光クーポンを1万セット発行し、6月11日から利用を開始しておりますが、7月末までに、宿泊券が7,438枚、観光券が1万2,988枚利用され、約4割の利用率となっております。当初は、利用期間を9月30日までとしておりましたが、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、利用期間を令和4年1月31日まで延長することとしております。
また、誘客拡大と市内周遊を促す取組みとして、抽選で毎月総額100万円相当の特産品をプレゼントするスタンプラリーを6月1日から開始しておりますが、6月の応募総数は860人で、当選者数は126人、7月の応募総数は1,468人で、当選者数は133人となっております。
緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の拡大により、修学旅行や旅行代理店のツアーに、キャンセルや延期となるケースがみられておりますので、引き続き、コロナ禍の影響を最小限に食い止める取組みを効果的に進めてまいります。
次に、商工関係についてでありますが、
中心市街地の中核ホテルの再生支援につきましては、感動!鹿角パークホテルのオープンから7月末までの状況については、コロナ禍により、宴会については当初の計画を下回っておりますが、宿泊やレストランは計画をやや上回る実績を上げているほか、正社員22人、パート16人が雇用されるなど、ホテルの再開が雇用の確保や地域経済への波及につながっているものと考えております。
地域新電力会社かづのパワーの事業再開に向けた支援につきましては、小売電力事業に関する国等の動向を調査しながら、事業休止の原因となった市場高騰リスクを回避するための事業モデルの検討を進めてまいりましたが、モデル案がまとまりましたので、詳細について今会期中に全員協議会を開催し、ご説明をしたいと考えております。
コロナ禍における経済・雇用対策につきましては、国の雇用調整助成金に市が上乗せ助成をする雇用維持支援金については、8月末までに6社に対して約200万円の支援を行っており、延べ528人の従業員の雇用維持につなげております。
プレミアム付商品券については、購入申込が発行予定数を上回ったことから、抽選により6月1日から販売を開始しておりましたが、約6億円分が全て完売となり、8月末までに発行額の約65%となる3億9,206万円が換金済みとなっております。
次に、教育関係についてでありますが、
小中学校普通教室等空調設備設置事業につきましては、8月までに、全ての小・中学校への空調設備の設置を完了し、学校生活における児童・生徒の健康と快適な学習環境の確保が図られております。
大湯環状列石を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録につきましては、去る7月27日に行われましたユネスコ世界遺産委員会の審議において、世界遺産一覧表に記載されることが決定いたしました。
審議当日は、大湯ストーンサークル館でパブリックビューイングを開催し、多くの市民の皆様と登録決定の瞬間を迎えることができ、共に喜び、お祝いすることができました。世界でも無二の存在として、縄文時代の精神文化を伝える大湯環状列石を次の世代に確実につなげていくとともに、世界文化遺産登録を契機に、本市のさらなる活性化につなげられますよう、取組みを積極的に推進してまいります。
次に、本定例会に提案いたします補正予算の概要についてでありますが、
一般会計では、公共施設解体基金積立金の追加、公共交通維持支援事業費補助金の追加、医療機関開設資金支援事業補助金の追加、大湯環状列石JOMON体感促進事業費の追加などを計上しております。
その結果、補正額は2億8,613万8千円の増額となり、補正後の予算総額は180億5,060万8千円となりました。
特別会計については、国民健康保険事業特別会計では、庁内ネットワーク整備委託料の追加、保険税還付金の追加、介護保険事業特別会計では、人件費の調整のほか、システム改修委託料の追加等となっており、企業会計については、下水道事業会計では、人件費の調整のほか、ポンプ場設備改修工事費の追加等を行っております。
本定例会には、報告案件1件、人事案件1件、専決処分の承認案件1件、計画の策定案件1件、字区域の変更案件1件、条例案件6件、補正予算案件4件、決算認定案件2件、あわせて17件のご審議をお願いいたしております。
詳細につきましては、それぞれの担当部長からご説明を申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご可決賜りますようお願い申し上げます。
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〒018-5292 秋田県鹿角市花輪字荒田4番地1
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更新日:2024年02月01日