令和7年第2回鹿角市議会定例会(施政方針・行政報告)
令和7年1月30日報告
令和7年第2回鹿角市議会定例会の開会にあたり、予算案及び提出議案の説明に先立ち、市政運営の基本方針及び私の所信並びに主要施策の概要を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
令和7年度は、第7次鹿角市総合計画前期基本計画の最終年を迎えるとともに、7月には私が市民の皆様から負託を受けて就任した鹿角市長の任期満了を迎えます。
これまで、市政の推進にあたりましては、私の公約である「市民との対話」を通じて、さまざまなご意見やご提言に真摯に耳を傾け、国や県のほか、関係市町村との広域的な連携や交流により、未来のまちづくりに向けて、全力を尽くしてまいりました。
また、市民の皆様の命と健康を守ることを何よりも大事にし、新型コロナウイルス対策をはじめとしたさまざまな課題に対応してまいりました。
今こそ、政治を志したときの初心に立ち返り、「政治は市民のもの」という原点を見失うことなく、謙虚に、誠実に市民や議会と向き合いながら、最後まで改革に取り組んでまいります。
令和7年度は、これまでの取組みをさらに強化して、鹿角市が誇る自然や伝統文化とともに、市民の皆様や地域とのつながりを生かしながら、笑顔と希望があふれるまちづくりを進め、将来都市像「ふるさとを誇り 未来を拓くまち 鹿角」の実現を目指してまいります。
さて、令和7年度当初予算についてでありますが、
第7次鹿角市総合計画で重要課題としている「女性・若者の定着に向けた雇用・産業の創出」や「人口構造の若返り」、「脱炭素社会の実現」など、持続可能な地域社会の形成を目指すための予算としております。
「女性・若者の定着に向けた雇用・産業の創出」については、若年者雇用の強化に向けたかづの産業未来創造会の取組みを支援するほか、市内企業の職場環境改善やDX(ディーエックス)推進などを支援し、企業の魅力向上を図ります。
また、女性や若者に選ばれる企業の誘致に取り組むため、サテライトオフィスツアーやマッチングイベントの参加企業に対し、集中的な誘致活動を実施するとともに、「まちなかオフィス」を改修し、リモートワークやワーケーション環境の充実を図ります。
「人口構造の若返り」については、地域活性化を担う人材を生み出すため、「かづコトアカデミー」を開催し、関係人口と地域とのマッチングを促進するほか、地域活性化起業人制度を活用した鹿角家U25の取組みを強化し、若者の増加と定住の促進を図ります。
「脱炭素社会の実現」については、2030ゼロ・カーボンシティの実現に向け、脱炭素行動事業者認定制度の運用による普及啓発のほか、個人及び事業者の太陽光発電・蓄電設備の導入や民有地を活用した地域向け電源導入を支援し、地球温暖化対策実行計画を着実に推進します。
また、市民センターや保育園、小中学校などの照明をLED化するとともに、個人及び事業者に対し、高効率な空調機器や照明機器への更新費用を支援し、取組みの加速化を図ります。
一般会計の予算規模は191億8,900万円で、前年度当初と比較して、0.3%の増となり、公営企業会計を除く特別会計の予算総額は、82億7,006万2千円となりました。
以下、令和7年度の主要施策について、
第7次総合計画前期基本計画の体系に沿い、その概要を申し上げます。
はじめに、基本戦略1の「活力を生む地域産業・生業を支える」についてでありますが、
地域産業の成長支援については、市内事業者の労働生産性向上を目指した取組みを強化するため、引き続き企業のDXの推進や設備の高度化を支援してまいります。
効率的な農業経営の確立については、農業者の高齢化と労働力不足に対応するため、新規就農者の確保を図るとともに、JAかづのとの連携によるマッチングアプリの活用や、果樹栽培サポーターの育成等に取り組み、農業に関わる人材の確保と農業経営基盤の維持・拡大を図ってまいります。
農業経営体の経営安定と競争力強化については、省力化・低コスト化に向け、スマート農業の普及を推進するとともに、農業農村支援機構を核とした経営サポートや、中心経営体への農地の集積・集約により、農業経営体の育成と競争力を高めてまいります。
林業の振興については、森林経営管理制度に基づき、草木・長野地区の経済林を意欲と能力のある経営体に再委託するとともに、十和田大湯地区の現地調査や十和田瀬田石・大湯黒森山地区の森林所有者への意向調査を実施します。
また、北鹿地域林業成長化協議会への参画を通じ、地域間の連携強化を図りながら、林業振興に向けた取組みを進めるとともに、森林認証を取得した鹿角市産材の活用を推進してまいります。
農業生産基盤の整備については、県営ほ場整備事業に採択された毛馬内北部地区において、面整備工事が進められるほか、柴内地区・神田道下タ地区・間瀬川地区において、新たな基盤整備に向け、関係機関と連携しながら農地集積等を推進してまいります。
また、県営事業で実施している花輪大堰や八幡平の一の渡頭首工、十和田の末広頭首工などについて、県と連携し関係者の理解を得ながら事業を進めてまいります。
就労・就農支援については、ICTを活用した副業を促進するとともに、資格取得の支援などにより、女性や若者のキャリアアップと所得の向上を図ってまいります。
農林業の担い手育成と定着支援については、農業法人へのインターンシップのほか、市独自の研修制度により、新規就農を促進するとともに、経営サポートの充実により、新規就農者の定着を図ってまいります。
また、地域林業の将来の担い手を確保し、市内の林業経営体の体制基盤を強化するため、市独自の「新規就業者雇用助成金」により、新規雇用を促進してまいります。このほか、林業従事者の現場作業員用の安全装備品の購入を支援し、引き続き林業の労働安全対策を推進してまいります。
産業の担い手確保については、関係機関との連携により地元就職の促進を図るとともに、企業の求人活動や大学生のインターン費用のほか、外国人材の受入環境の整備を支援してまいります。
また、女性や若者に選ばれる企業となるよう、企業の魅力向上対策への支援制度を創設し、人材の確保を図ってまいります。
次に、基本戦略2の「元気で健やかな暮らしを支える」についてでありますが、
心身の健康づくりについては、がん検診に胃がん内視鏡検査を追加するとともに、乳がん検診や子宮頸がん検診の助成を拡充し、がんの早期発見、早期治療につなげてまいります。
感染症予防については、新たに妊婦を対象にRSウイルスワクチン接種の助成を実施するとともに、小児のインフルエンザワクチン接種の助成対象年齢を13歳未満から高校生世代までに拡充し、疾病の発症や重症化予防を図ってまいります。
妊産婦支援については、不妊治療費等助成において、新たに先進医療等による治療を助成対象に追加するともに、通院時の医療機関までの交通費を助成することにより、不妊治療を受けている夫婦の経済的な負担を軽減し、出産の希望が叶えられるよう支援してまいります。
地域医療体制の充実については、 医学生修学資金貸付事業や医療機関開設資金支援事業を継続するとともに、岩手医科大学に設置している寄附講座を更新し、医療職の魅力を発信する取組みなどを通じ、将来、本市で医療職に従事して活躍する人材の確保と地域医療体制の維持を図ってまいります。
また、かづの厚生病院小児科病床については、4月以降の診療体制が正式に決まり次第、市民の不安解消に向けた周知を行うとともに、早期に小児科医師が常勤体制となるよう、引き続き医師確保に取り組んでまいります。
出会い応援と結婚支援については、独身男女の出会いの機会を創出するためのイベントを開催するほか、自身の魅力アップセミナーやスキルアップセミナーを引き続き開催します。
また、新婚世帯の経済的負担を軽減するため、39歳以下の夫婦を対象に住宅取得費や家賃を支援し、若い世代の結婚の希望を叶えられるよう応援してまいります。
子育て支援の充実については、今年度中に策定する「こども計画」に基づき、こどもや若者が健やかに成長できる環境整備や、ヤングケアラー等の困難を有するこども・若者への支援、さらには子育てを社会全体で支える体制の充実を図る取組みを進めてまいります。
高齢者福祉については、地域交流や高齢者のネットワークづくり等を促進するため、地域生き活きサロンや会食サービスの拡充を図るとともに、ひとり暮らし高齢者等の自立した生活を支援する軽度生活援助サービスにより、高齢者が安心して暮らすことができる取組みを継続してまいります。
介護予防については、高齢になっても要介護状態にならないよう、市民サポーターの協力による定期的なフレイルチェックを行うとともに、シルバーリハビリ体操の取組みと連携しながら、介護予防活動の普及啓発に努めてまいります。
地域福祉の充実については、障がい者計画が最終年度を迎えることから、共に生きる地域社会の実現に向け、現計画の達成状況を検証しながら次期計画を策定してまいります。
民生委員・児童委員については、今年11月末までの任期終了に伴う改選にあわせ、担当地区の一部について見直しを行い、民生委員の不在地区の解消に努めてまいります。
次に、基本戦略3の「快適で安らぎのある暮らしを守る」についてでありますが、
水道水の安定供給については、人口減少などに伴う水道使用量の減少と物価高騰などによる費用の増加により、水道事業の経営環境が変化していることから、水道料金を改定し、持続可能な経営に努めてまいります。
また、浄水場や配水池などの設備更新のほか、大湯腰廻地区など3カ所で老朽管更新工事を実施し、計画的に水道施設の更新を進めてまいります。
生活排水対策の充実については、八幡平小豆沢地区の農業集落排水施設を公共下水道に接続するための管渠布設工事を進め、下水道事業の経営の安定化を図ります。
また、公共下水道整備認可区域外の生活排水処理対策を進めるため、合併処理浄化槽設置に係る補助制度の対象に、既存汲取り槽などの撤去に併せて行う宅内配管工事の費用を新たに追加し、合併処理浄化槽の普及をさらに推進してまいります。
住環境の向上については、市営住宅の給湯器更新工事や老朽化住宅団地における集約化などの長寿命化対策を進めるとともに、民間住宅の脱炭素化に向けた断熱改修などのほか、中古住宅の利活用に対する支援により、居住環境の向上を図ってまいります。
空き家等の適正管理の推進については、空き家等対策計画に基づき、補助制度を活用した自主的な解体への誘導や、周辺に悪影響を及ぼしている空き家への指導を強化することにより、管理不全空き家の解消と発生抑制に取り組んでまいります。
地域公共交通の確保対策については、市民にとって利用しやすく、将来にわたり持続可能な公共交通体系の構築に取り組むとともに、利用者の拡大を図るため、定期券・回数券の購入助成を行うなど、引き続き生活バス路線の確保に努めてまいります。
また、八幡平地区の路線バス廃止に伴う再編については、地域に即した持続可能な移動支援を進めてまいります。
次に、基本戦略4の「暮らしの安全・安心を高める」についてでありますが、
農地の保全については、農業・農村の有する多面的機能が維持・発揮されるよう、多面的機能支払交付金事業の区域拡大を進めながら、農村集落活動の活性化や農村環境の保全と機能向上の取組みを支援してまいります。
森林環境の保全については、間伐に対する補助に加え、再造林に対する補助の拡充と、再造林のための作業道整備を新たに支援することにより、新植の促進を強化し、再造林の推進による森林施業の持続的な経営と保全を図ってまいります。
また、林業生産コストの低減と搬出間伐等の森林の施業・保育と原木の安定供給を図るため、八幡平上山田地区及び石鳥谷地区において、作業道を計画的に整備してまいります。
有害鳥獣被害防止対策については、住宅地などでクマの出没が多発していることから、クマを誘引する樹木の伐採に対する支援を継続するとともに、出没情報等を迅速に発信し、市民への注意喚起を行ってまいります。
また、イノシシやニホンジカの目撃も頻発していることから、くくり罠の捕獲技術の向上を図り、捕獲体制の強化を行いながら、鳥獣被害の防止に努めてまいります。
木育の推進については、木材や林産物とのふれあいを通じて森林資源の豊かさや魅力等を発信するほか、1歳6か月児健診に合わせて木製玩具を贈呈するなど、木に触れ合う機会の提供により地場産材の魅力を啓発し、木製品の需要喚起を図ってまいります。
災害への対応については、13年ぶりに本市で開催される秋田県総合防災訓練を通じて、関係機関との連携による災害対応力の強化につなげてまいります。
また、地域住民による自主防災組織の育成と組織力強化への支援を継続するとともに、出前講座等を通じ、市民の防災意識の高揚を図ってまいります。
応急手当の普及、啓発については、救命講習を受講した救急救命サポーターが、AEDによる初期対応を行う「地域救急救命サポーター制度」を新たに導入し、救急対応力の向上を図ってまいります。
消防施設・設備の充実と効率化については、十和田分署の移転新築により、十和田地区における消防力及び防災力を維持してまいります。
消防団活動の充実と活性化については、消防団員の活動服等の更新を進めるほか、消防団活動拠点施設の整備を計画的に進めてまいります。
また、消防団員の年報酬及び出動報酬の額を改定し、処遇改善を行うことにより、消防団員の士気向上と消防団活動の活性化を図ってまいります。
道路、橋梁等のインフラの整備については、道路橋の点検や福士川橋の補修工事などの橋りょう長寿命化対策のほか、河川整備事業や急傾斜地崩壊対策事業などにより、引き続き防災・減災インフラ整備を推進してまいります。
地域住民の安全安心な社会基盤の構築については、台風等での倒木による停電を未然に防止するため、東北電力との「災害時の協力に関する協定」に基づく事前伐採により、ライフラインである電力の安定供給を図ります。
次に、基本戦略5の「未来に羽ばたく人材を育てる」についてでありますが、 教育に関する執行方針として、後ほど教育長から申し述べます。
次に、経営戦略1の「まちに人・モノ・外貨を呼び込む」についてでありますが、
関係人口の拡大については、地方に関心のある首都圏住民から本市の関係人口になってもらい、本市の抱える地域課題に取り組む人材を育成するため、引き続き関係人口育成講座「かづコトアカデミー」を開催します。
また、本市出身の若者を対象とした鹿角家U25へのふるさと仕送り便を継続するほか、地域活性化起業人制度を活用し、さらなる活動の活性化を図りながら、新規会員の獲得とふるさとへの愛着、Uターン機運の醸成に取り組んでまいります。
地域間交流による交流人口の拡大については、学校法人武蔵野大学ウェルビーイング学部の誘致に向け、大学関係者による市内視察や講演会等を開催するほか、大正大学など多様な大学の調査研究活動を支援し、市内全域を大学キャンパスに見立てた「鹿角キャンパス構想」を推進してまいります。
移住定住の促進については、首都圏での移住フェアや、移住コンシェルジュのSNS等による情報発信に加え、市内に一定期間滞在して仕事を体験する「仕事体験プログラム」の実施により、移住者のさらなる増加につなげてまいります。
魅力あるブランド農畜産品や高収益作物の生産拡大については、稲作中心から収益性の高い野菜や花きへの転換を図るとともに、米価の安定に向け、引き続き主食用米から飼料用米などの新規需要米への転換を進めてまいります。
シンテッポウユリをはじめとする花きについては、本市の冷涼な気候特性により、全国的に需要が高まる時期に合わせた出荷が可能であり、また、啓翁桜は、冬期作物としても安定収入が見込まれることから、さらなる生産拡大に取り組んでまいります。
「かづの北限の桃」をはじめとする果樹については、樹園地のマッチングと承継にかかる費用の支援により、生産面積の維持・拡大を図り、果樹産地としての基盤を強化してまいります。
「淡雪こまち」については、省力化栽培と高付加価値をさらに進めるため、引き続き特別栽培米による作付を支援してまいります。
かづの牛については、本日、長年待ち望んでいた国の地理的表示保護制度に登録されましたので、GI登録を契機に、本市が誇る地域ブランドとして、さらなるPRを展開するとともに、枝肉出荷頭数120頭台の達成に向け、引き続き関係機関と連携しながら頭数の維持・拡大に向けた取組みを推進してまいります。
農畜産物の販路の拡大については、農業者の販売チャンネルの多角化に向け、直売所での農産物の販売を強化し、農家の所得向上を目指してまいります。
稼げる観光振興に向けた滞在型観光の充実については、関係自治体や、団体、DMO等との広域連携により、周遊観光の促進を図ってまいります。
また、今年度運行を開始した八幡平地域の自家用有償旅客運送「ドラゴン号」に加え、新たに十和田湖及び小坂町と鹿角花輪駅を結ぶ予約制乗合タクシーを運行し、移動の利便性を向上させることにより、周遊観光の促進を図ってまいります。
このほか、JR花輪線を活用したツアーを継続して実施するとともに、盛岡近隣地域をターゲットとして鹿角観光をPRすることで、花輪線沿線住民の利用促進と花輪線の維持存続に向けた機運の醸成を図ってまいります。
国際的観光地としての受入態勢づくりについては、DMOの対象エリアに小坂町が加わったことで、鹿角エリアとして、より一層の発信力を高めるとともに、デジタル・マーケティングによる分析やプロモーションの展開により、観光消費額の増加につなげ、持続可能で満足度の高い観光地づくりを進めてまいります。
また、インバウンドの受入態勢を強化し、上質なかづの観光を提供していくため、宿泊事業者、観光事業者のコミュニケーション能力の向上を図るとともに、観光ガイドの強化・育成を進めてまいります。
エネルギー産業の育成については、エネルギー産業フェアの視察やワークショップの実施により、エネルギー関連産業への参入を目指した取組みを推進してまいります。
また、市内企業を対象とした脱炭素経営セミナーの開催のほか、かづのパワーの再エネ電気への切替などのPR、脱炭素行動事業者認定制度やゼロカーボンサポーターの活用により、地球温暖化対策実行計画を着実に推進してまいります。
再エネ導入については、かづのパワーへの電源供給を目的とする民有地への太陽光発電設備導入を支援するほか、企業や家庭の太陽光発電設備や熱利用機器の導入を支援してまいります。
また、省エネ対策については、公共施設での省エネ診断の実施に加え、市民や事業者が行うCO2の削減効果が高い空調や照明、給湯器の更新等を支援し、エネルギー利用の効率化を促進してまいります。
EV導入の推進については、公共施設への充電設備の導入調査を実施するとともに、引き続きEVをより身近に感じてもらうための試乗会や展示会などを開催してまいります。
次に、経営戦略2の「『世界遺産のまち』をつくる」についてでありますが、
世界遺産のまちづくりについては、世界遺産、無形文化遺産や文化財のほか、郷土の食を観光に活用し、ヘリテージ・ツーリズムとして展開することにより、国内外からの誘客に取り組み、「世界遺産のまち・かづの」の認知度の向上を図ってまいります。
次に、経営戦略3の「まちの経営力を高める」についてでありますが、
公共施設の適正配置と効率的な管理運営については、旧十和田高等学校跡地の活用について、全市的な観点から方向性を検討するため、市民アンケート調査を実施するとともに、サウンディング型市場調査によって、民間事業者のアイデアや市場性の有無を把握してまいります。
未来技術の導入については、行政事務におけるペーパーレス化など、自治体DXを進めることにより、市民サービスの向上と業務の効率化を図ってまいります。
地域人材の育成、活動支援については、地域づくり協議会等が主体となって実施する地域づくりミーティングや、地域の課題解決に向けた取組検討会の開催を通じて、地域自らが課題解決に向けた取組みを実施できるよう、引き続き支援してまいります。
自治会活動の充実については、地域活動の維持と活性化を図るため、地域づくりリーダー研修会の開催や、自治会元気づくり応援補助金などによる支援を継続するとともに、集落支援員の活動を通じて集落の課題整理や話し合いを行いながら、地域資源を活用した主体的な取組みがさらに進められるよう、引き続き支援してまいります。
以上が、令和7年度に取り組む主な施策であります。
次に、諸般の報告について申し上げます。
はじめに、総務関係についてでありますが、
第7次総合計画後期基本計画の策定につきましては、現在、基本構想の改定に向け、現状を踏まえた課題整理や新しい時代を見据えた本市のあるべき姿について、幅広い世代から意見を伺っております。
この中で、当初の想定よりも人口減少が進んでいる現状を踏まえ、女性や若者の定着や回帰を目指し、若者の意見の把握を重点的に実施しております。昨年11月には、高校生から39歳までの市民900人に「若者アンケート」を実施したほか、今月7日には、市内の中学校と高校の代表15人による「かづの未来の若者会議」を開催し、次代を担う若い世代ならではの提案をいただいております。
今後につきましても、かづの未来会議をはじめ、さまざまな形で市民の意見や意向を把握し、議論を重ねながら策定作業を進めてまいります。
防災対策につきましては、12月21日に、市役所周辺を会場に、鹿角市総合防災訓練を実施いたしました。大規模地震が発生した想定で、初期対応の災害対策本部設置訓練のほか、自治会や自主防災組織などによる初期消火訓練や救命救護訓練などを実施し、地域住民の防災意識の向上を図っております。
また、同日に、交流センターで、秋田県と鹿角市及び日本赤十字社秋田県支部合同災害救護訓練を開催し、災害時における保健医療福祉に係る関係機関の情報連携の実働訓練を行ったほか、避難所における衛生確保や感染症の拡大防止のための対応等を確認いたしました。
今回の訓練を踏まえ、さらなる地域防災力の向上と関係機関相互の連携を図るとともに、大規模災害発生時の初動対応や、避難所運営等における必要な対策等を講じてまいります。
出会い応援につきましては、12月21日に、出会いイベント『第12回かづの縁結び~クレープ作り&カフェタイム交流会~』を開催し、男性6人、女性5人が参加し、3組が連絡先を交換しております。
ふるさと鹿角応援寄附につきましては、1月25日現在で、寄附件数は1万3,106件、金額では3億1,153万5千円で、前年同期と比較し、件数では約32%の減、金額では約14%の減となっております。
昨年度は、寄附募集に係る経費の厳格化による駆込み需要もあり、過去最高額となりましたが、今年度は、全国的な米不足と米価引き上げの影響を受け、返礼品の数量を十分に確保することができず、秋以降に米への寄附が入りづらい状況になったことが減少の要因であると捉えております。
こうした中で、りんごやアップルパイ、きりたんぽといった返礼品は根強い人気があり、寄附額ベースでは一昨年並みで推移しております。
関係人口の創出につきましては、9月から全4回開催した「かづコトアカデミー」は、1月11日に、最終回の発表会を行い、受講生10人が、本市との今後の関わり方プランを発表しました。今後は、講座参加者から、関係人口「鹿角家」の一員として、より深く本市に関わっていただくとともに、それぞれのプランの実現に向けて関わりを継続してまいります。
関係人口の交流につきましては、1月18日に、東京都内で、「鹿角家」と「鹿角家U25」の会員の交流イベント「kazuno fes(かづのフェス)」を開催し、きりたんぽの手作り体験、市民がセレクトした本市特産品の販売、かづの牛の皮を使ったクラフト体験、鹿角高校家庭クラブが作成した茜染め作品の展示のほか、本市出身者で構成されるバンド「かづのブラス」の演奏などが行われ、約150人が参加しました。
開催にあたり、鹿角家U25の会員自らが発案した企画を具体化するため、月一回の企画会議が開催され、会議を通じて会員同士のつながりが深められております。
次に、民生関係についてでありますが、
物価高騰対応重点支援給付金給付事業につきましては、エネルギー・食料品等の物価高騰による家計への影響が大きい低所得者世帯の負担を軽減するため、令和6年度住民税非課税世帯に1世帯につき3万円、18歳以下の子どもがいる世帯には、こども加算として1人につき2万円を加算するほか、福祉灯油分として6千円を追加して給付いたします。
1月17日に、対象となる3,583世帯に確認書を送付しており、確認書が返送された世帯には、1月31日から順次、給付してまいります。
次に、農林業関係についてでありますが、
令和6年産の主食用米の作付け状況につきましては、「生産の目安」である1,972ヘクタールに対し、作付け面積は2,080ヘクタールで、生産の目安を100ヘクタール超えた状況となり、収穫量は1万2,000トンと公表されております。
令和7年産米の「生産の目安」については、全国的な災害等が続いたことによる在庫量の減少のほか、秋田県産米の在庫状況やシェア率などを勘案した県の方針を踏まえ、鹿角地域農業再生協議会では、令和6年産の「生産の目安」から、209ヘクタール増の2,181ヘクタールと定め、方針作成者であるJA等の集荷団体に提示しております。
令和7年産米の増加は、コメの適正在庫量を確保するための一時的な増加と捉えておりますので、引き続き飼料用米や高収益作物への作付け転換などを促しながら、需要に見合った生産を推進してまいります。
リンゴにつきましては、昨年の高温により花芽が少ないことに加え、6月中旬の花輪地区を中心とした雹害により、一部地域において、品質に大きな影響が出たほか、7月の降雨が多く、大玉傾向でありましたが、炭疽病や褐斑病が多く発生したことから、12月末のJAかづのの集荷量は前年比約112%と前年を上回ったものの例年と比較すると少ない集荷量でありました。
今後につきましても、関係機関と連携しながら、ふるさと納税の返礼品への活用や香港や台湾への輸出分の拡大などにより、さらなる販売強化を図り、果樹農家の所得向上につなげてまいります。
クマの出没、被害状況につきましては、令和6年末までの目撃件数が153件で前年から162件の減、農作物等の被害件数は25件で前年から55件の減、人身事故発生件数は4件で前年から7件の減となり、捕獲頭数は49頭で前年から126頭の減となっております。
また、野生動物による農林業被害額は88万円で、前年から602万7千円の減となりましたが、このうちイノシシによる被害が76万7千円で、前年から69万7千円の増となっていることから、くくり罠の講習会の継続などにより、イノシシの捕獲体制を強化してまいります。
葛飾区との包括協定に基づく本市産材の活用につきましては、葛飾区立水元小学校の玄関ホールの天井装飾への使用のために、鹿角産のスギ材12立方メートルが出荷されたことを機に、昨年12月に、水元小学校の全児童が板材に塗装を行うワークショップが開催され、木材の活用と森林環境保全の啓発が図られております。
葛飾区では、今後も小中学校の建て替えが予定されていることから、本市産材がより多く活用されるよう、連携を密にしてまいります。
令和4年8月の大雨災害で被災した農地・農業用施設及び林道施設の災害復旧事業につきましては、全55カ所のうち、西山農免道路など48カ所の復旧工事が完了し、残りの7カ所についても、すでに工事発注が済んでおり、年度内に完了する見込みとなっております。
次に、観光関係についてでありますが、
令和6年の観光客数は、約163万人で、前年同期と比較して約5%の減となりました。暖冬などにより1月、2月のスキー場の入込が大きく落ち込んだことが主な要因ととらえております。
また、令和6年の宿泊客数は約20万人と前年並みとなりました。季節ごとでは、紅葉シーズンとなる9月以降は12月まで前年を上回りましたが、それ以外は前年を下回る月が多い状況でありました。
インバウンドの入込については、道の駅かづので実施している「みそ付けたんぽ体験」の人気が高く、12月末までに約1万7千人から体験され、前年比約152%と大幅に増加しております。今後につきましても、観光客数や宿泊客数の動向を注視しながら、誘客促進を図ってまいります。
次に、商工関係についてでありますが、
市内の雇用情勢につきましては、昨年11月末現在のハローワーク鹿角管内の月間有効求人倍率は1.30倍で、前年同月と比較して0.27ポイント下回り、管内企業の採用計画の見直しが行われたことが要因と捉えております。
また、有効求人数が、建設業や製造業・介護サービス業で多くなっているものの、求職者数が減少傾向にあることから、人手不足が長期化している状況にあります。
11月末現在における新規学卒者の就職状況については、縁故、公務員を除いた希望者は45人で、前年から16人減少しておりますが、希望者のうち84.4%にあたる38人の就職が内定しております。内定者のうち、県内は前年比2人減の32人、うち鹿角管内は前年比1人減の24人となっております。
就職希望者数が大きく減少する中で、関係団体による高校への働きかけや、地元企業の積極的なPR活動により、前年並みの管内就職内定数につながったものと捉えておりますので、引き続き関係機関と連携しながら管内就職への意識醸成を図ってまいります。
地球温暖化対策につきましては、環境省が示す地球温暖化対策実行計画の策定・実施マニュアルを踏まえ、現在、令和5年3月に策定した鹿角市地球温暖化対策実行計画の改訂作業を進めております。
今回の改訂では、直近の数値を用いて2030年度の二酸化炭素排出量の推計値及び二酸化炭素の森林吸収量を再算定した結果、削減目標とする二酸化炭素排出量を、現計画の7.3万トンから1.14万トン低い6.16万トンに設定しております。来月25日までパブリックコメントを実施しており、今年度内に計画を改訂することとしております。
次に、教育関係についてでありますが、
令和6年度鹿角市二十歳のつどいにつきましては、今月12日に、文化の杜交流館を会場に開催しております。
開催にあたりましては、参加対象者で組織した「二十歳のつどい実行委員会」から、準備をはじめ当日の司会進行に至るまで、積極的に参画いただいております。
当日は、対象者221人のうち、158人が出席したほか、オンラインで一般の方も含めて39人の方から視聴いただいております。
今後も、未来を担う若い世代が、親交を深め合い、ふるさとの良さを感じられる機会を創出してまいります。
スポーツによる交流人口の拡大につきましては、来月13日から16日まで、花輪スキー場を会場に「第79回国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会」が開催されます。参加する選手をはじめ、全国各地から訪れる多くの方々の心に残る大会となるよう、万全の体制で臨んでまいります。
来年度には、青森県大鰐町を主会場に開催される「第80回国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会」のスペシャルジャンプ競技とコンバインド競技が、本市で分離開催されることから、引き続き役員の方々の協力を得て開催に向けてまいります。
また、令和8年度の第76回全国高等学校スキー大会が本市の花輪スキー場で開催されることが決定したことから、開催に向けて関係機関と連携を図り、準備を進めてまいります。
次に、本定例会に提案する補正予算の概要についてでありますが、
一般会計では、ふるさと産品取扱業務委託料や地方バス路線運行対策費補助金、認可保育園保育委託料などの追加や、国の補正予算に対応した農地中間管理機構関連ほ場整備事業負担金、農業水利施設整備事業費負担金、花輪大堰改修事業費負担金の追加のほか、実績見込みによる事業費の調整を中心に編成いたしました。
その結果、補正額は7,880万5千円の増額となり、補正後の予算総額は207億1,129万5千円となりました。
このほか、国民健康保険事業特別会計では保険給付費等交付金償還金の追加など、介護保険事業特別会計では債務負担行為の追加、上水道事業会計では、配水管等移設工事費の減額など、下水道事業会計では、流域下水道鹿角処理区建設費負担金の増額などによる補正を行っております。
本定例会には、財産の貸付案件1件、市道案件2件、条例案件9件、補正予算案件5件、当初予算案件6件、あわせて23件のご審議をお願いいたしております。
詳細につきましては、それぞれの担当部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご可決賜りますようお願いいたします。
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更新日:2025年01月30日