令和5年第2回鹿角市議会定例会(施政方針・行政報告)

更新日:2024年02月01日

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令和5年2月24日報告

令和5年第2回鹿角市議会定例会の開会にあたり、予算案及び提出議案の説明に先立ち、市政運営の基本方針及び私の所信並びに主要施策の概要を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

私は、令和3年6月に5つの公約を掲げて市長に当選、市長就任後は、公約の実現に向けて一つ一つ取り組んでまいりました。

第1の「市民との対話、交流を盛んにし、透明で活力ある市政を実現する」は、

「いつでも市長室」や「地域づくりミーティング」を通じてさまざまなご意見やご提言をいただきました。

さらに、第三者委員会より提言をいただくとともに、提言に基づき、入札監視委員会の設立を行い、退職者の情報公開なども進めております。

さらに、第三セクターの運営改善にも取り組んできました。

 

第2の「県、他県、国とのパイプを強化し、北東北経済圏の確立に努める」は、

第7次総合計画を実現する上でも重要な公約でもあります。すなわち、国・県・市の3つのトライアングルにより、各種施策等が着実、かつ円滑に実施されます。

このため、秋田県や鹿角地域振興局との連携強化に取り組んでまいりました。国との連携では、総務大臣、国土交通大臣のほか、農林水産省や財務省など中央官庁の幹部に直接本市の実情と支援を訴えてまいりました。

岩手県、青森県とはドクターヘリの運用要件の緩和の要請や広域観光の連携、交流を進めております。

 

第3の「医療・福祉を充実させ、誰もが安心して暮らせる鹿角をつくる」は、

医療・福祉の充実について、岩手医科大学、弘前大学の医局などの訪問を重ねて、鹿角の医療が後退することがないよう、全力をもって取り組んできました。

出産体制の実現について、その課題を抽出しており、さらに取り組んでまいります。

 

第4の「女性と若者の声を反映させ、共同して未来に輝く鹿角をつくる」は、

「女性と若者の声が反映される」ため、「いつでも市長室」、「地域づくりミーティング」の開催とともに、ワークライフバランスの優れた企業の顕彰を行ってまいりました。

また、女性や若者が働きやすい職場づくりのため、トヨタ生産システムの普及にも取り組んできました。

 

第5の「豊かな自然と伝統文化を活かし、品格と風格のある街をつくる」は、

「豊かな自然と伝統文化」については、十和田八幡平国立公園の活性化に取り組むとともに、世界文化遺産の大湯環状列石の情報発信、ユネスコ無形文化遺産の大日堂舞楽、花輪ばやし、毛馬内盆踊りの文化継承に取り組んできました。

なお、「和食」もユネスコ無形文化遺産に登録されていることから、きりたんぽ、けいらん、鹿角ホルモンなどの本市が誇る郷土食についても、その「和食」の定義に該当しているものであると捉え、付加価値を高めることで、本市の豊かな食文化のさらなる発展を促すよう、取り組んでまいります。

また、鹿角市の大先達である武道家、児玉高慶先生、乳井義博先生の顕彰を支援してきました。こうした取組みを通じて、「品格と風格のあるまちづくり」を進めております。

このように未来のまちづくりに向けて、種を撒いてまいりました。

 

令和5年度は、第7次鹿角市総合計画前期基本計画の中間となる3年目を迎えるとともに、私の現任期の折り返しの年となります。

市政の推進にあたっては、これまで、私の公約である「市民との対話」を通じて、さまざまなご意見やご提言をいただくとともに、国や県、関係市町村との広域的な連携や交流により、未来のまちづくりに向けて、種を撒いてまいりました。市民や地域とのつながりを大切に育みながら、芽吹いた政策をさらに力強く育て、着実に花を咲かせることで、将来都市像「ふるさとを誇り 未来を拓くまち 鹿角」の実現を目指してまいります。

 

さて、令和5年度当初予算についてでありますが、

第7次総合計画に掲げる5つの基本戦略と3つの経営戦略により、最重要課題としている「地域の稼ぐ力を高める産業振興」や「人口構造の若返り」、「カーボンニュートラルの目標実現」など、持続可能な地域社会の形成を目指すための予算としております。

「地域の稼ぐ力を高める産業振興」については、産業のデジタル化を推進し、農業機械の自動操舵環境構築等によるスマート農業の推進、企業力向上アドバイザーによるDX推進などの支援、ビッグデータ等の分析による観光マーケティングやSNSを活用したインバウンド強化など、時代にマッチした産業力の強化を図ります。また、収益性の高い作物への転換や農畜産物の販路拡大を推進するほか、観光では、世界遺産である大湯環状列石をはじめ、十和田八幡平国立公園や祭り・文化などの観光資源の磨き上げに取り組み、誘客促進を図ります。

「人口構造の若返り」については、地域医療の維持確保に向けた中核病院への支援、健診・出産準備等にかかる助成金の拡充などにより、子どもを産み育てる環境のさらなる向上を図るほか、移住者への家賃支援、大学生のインターンシップ支援などの取組みにより、若者の市内就職と定住の促進を図ります。

「カーボンニュートラルの目標実現」については、2030ゼロ・カーボンシティの実現に向け、専門員の配置により地球温暖化対策実行計画の推進に必要な体制の構築を進めます。また、啓発講座の開催などにより市民の理解を深めるとともに、公共施設の照明LED化や空調設備改修の実施、事業者における省エネ機器更新などを支援し、脱炭素社会の構築を目指します。

一般会計の予算規模は184億6,800万円で、前年度当初と比較して、6.0%の増となり、公営企業会計を除く特別会計の予算総額は、86億3,663万5千円となっております。

 

以下、令和5年度の主要施策について、第7次総合計画前期基本計画の体系に沿い、その概要を申し上げます。

 

はじめに、基本戦略1の「活力を生む地域産業・生業を支える」についてでありますが、

地域産業の成長支援については、市内事業者の労働生産性向上を目指した取組みを強化するため、DX導入や新事業進出等を支援してまいります。

効率的な農業経営の確立については、農業者の高齢化と労働力不足に対応するため、スマート農業のさらなる普及を図るとともに、JAかづのと連携したマッチングアプリの活用により、幅広い年齢層から農業に携わる人材を確保することで、経営基盤の維持・拡大を図ってまいります。

農業経営体の経営安定と競争力強化については、鹿角市農業農村支援機構を核とした経営サポートにより経営の効率化を図るとともに、中心経営体へ農地を集積・集約化することで、農業経営体の育成と競争力を高めてまいります。

林業の振興については、大湯地区で航空レーザ計測及び森林資源解析を行うなど、森林経営管理のデジタル化を推進し、森林経営管理制度を効果的に運用してまいります。また、自治体間の連携強化を図るとともに、事業体のビジネスマッチングや協業化を促進し、市有林認証材のブランド化を目指してまいります。

農業生産基盤の整備については、毛馬内北部地区における基盤整備事業が令和6年度に事業採択されるよう、関係機関と連携しながら、農地集積等の事業推進に取り組んでまいります。また、現在、県営事業で整備が進められている花輪大堰や八幡平の一の渡頭首工のほか、令和5年度に事業採択が予定されている末広頭首工などの整備について、県と連携し、関係者の方々の理解を得ながら進めてまいります。

就労・就農支援については、ICTを活用した副業を促進するほか、女性・若者の資格取得支援等により、キャリアアップと所得の向上を図ってまいります。

農林業の担い手育成と定着支援については、農業法人へのインターンシップや、市独自の研修制度である「新規就農者研修支援事業奨励金」により、新規就農と早期の経営確立に向けたサポートを充実させ、新規就農者の定着を支援してまいります。また、地元林業事業体への就職を志して秋田県林業大学校に入学する学生を対象に、受講料全額と研修時の家賃を支援することにより、林業の担い手を育成し、地域林業の活性化につなげてまいります。さらに、林業事業体の新規雇用や、安全装備品の購入を支援することで、労働環境の向上を図ってまいります。

産業の担い手確保については、地元就職の促進や、企業の求人活動にかかる費用の助成に加え、新たに、大学生のインターンシップ受入れにかかる宿泊・旅費等を支援するなど、人材確保に向けた取組みを進めてまいります。

次に、基本戦略2の「元気で健やかな暮らしを支える」についてでありますが、

心身の健康づくりについては、子宮がん・乳がん検診の個人負担金無料対象者の年齢を拡充し、受診しやすい環境を整えるとともに、若年層からの健診意識の向上を図り、がんの早期発見、早期治療につなげてまいります。

健康意識の高揚と生活習慣病予防の推進については、市民の健康に対する意識改革と動機づけを図ることで運動習慣の定着につなげるため、新たに健康セミナーを開催いたします。

また、こころの健康づくりについては、第2期自殺対策計画策定のために実施するアンケートにおいて、大学と共同で調査結果を分析しながら、効果的な施策に反映させてまいります。

切れ目のない母子保健の充実については、妊娠から出産・子育てまでの一貫した伴走型の相談支援とともに、出産・子育て応援給付金による経済的支援を一体的に行うことで、支援体制のさらなる充実を図ってまいります。

医療従事者の確保と病院機能の充実については、医師修学資金貸与制度や医療機関開設資金支援事業を継続し、将来、本市で医療に従事する人材の確保に努めるとともに、かづの厚生病院の産科医療に必要な機器整備への支援などを行ってまいります。また、これまでも、岩手医科大学、弘前大学の医局を訪問し、教授の皆様に鹿角の医療の現状と支援を訴えてまいりました。関係者のご尽力により、かづの厚生病院の産科外来検診が維持されておりますので、今後とも要請を続けてまいります。

出会い応援と結婚支援については、独身男女の出会いの場の創出と、結婚に向けたサポート体制の充実を図るとともに、夫婦共に29歳以下の新婚世帯に対する住居費等の補助上限額を、60万円まで引き上げる経済的支援により、結婚の希望が叶うよう応援してまいります。

高齢者福祉については、タクシー利用や除排雪費用の助成を継続するとともに、支援が必要な高齢者が住み慣れた地域で支えあい、安心して暮らすことができる地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。

地域福祉の充実については、令和5年度に策定する地域福祉計画と障がい福祉計画の策定過程において、これまでの取組みの課題と成果を検証しながら、地域の助け合いによる福祉の充実と障がい者サービス等の向上に努めてまいります。

 

次に、基本戦略3の「快適で安らぎのある暮らしを守る」についてでありますが、

水道水の安定供給については、浄水場及び配水池の設備更新のほか、山根前田地区や下花輪地区などにおいて老朽管更新工事を実施し、将来に向けて浄水設備や水道管を適切に維持してまいります。

生活排水対策については、下水道事業の安定経営に向け、令和5年度から、八幡平小豆沢地区の農業集落排水施設を公共下水道へ接続するための管渠布設工事を進めるとともに、公共下水道整備認可区域外の生活排水処理対策として、合併処理浄化槽の設置に要する費用の助成対象範囲を拡充いたします。

安全・安心な住まいづくりについては、高井田住宅の外壁補修工事などの長寿命化対策を進めるほか、家庭での脱炭素化に資する取組みとして、新たに断熱改修を伴うリフォームを支援してまいります。

空き家等の適正管理の推進については、空き家所有者に対する適正管理指導や危険老朽空き家の解体費用助成を継続するほか、空き家をめぐる諸課題に対応していくため、空き家実態調査を実施し、空き家件数や老朽化状態の実態を把握してまいります。

公共交通手段の維持確保については、今年度策定を進めている「鹿角市地域公共交通計画」に基づき、市民にとって利用しやすく、将来にわたって持続可能な公共交通体系の構築に取り組むとともに、生活バス路線運行の支援を継続してまいります。

森林環境の保全については、皆伐後の新植や間伐に加え、路網整備に対する支援により、森林資源の有効活用と再循環を促すとともに、県と連携しながら、林業生産コストの低減と供給量向上を目的とした高性能生産団地路網を計画的に整備してまいります。

 

次に、基本戦略4の「暮らしの安全・安心を高める」についてでありますが、

防災意識の高揚については、地域住民による自主防災組織の育成と組織力強化への支援を継続していくことにより、防災意識と地域防災力の向上を図ってまいります。

災害に強いまちの基盤整備については、道路橋の点検や補修などの橋りょう長寿命化対策のほか、河川整備事業や急傾斜地崩壊対策事業などの防災インフラの整備を推進してまいります。また、昨年8月の大雨による被災を踏まえ、河川の良好な状態を維持していくため、市が管理する河川の土砂の堆積状況や護岸の整備状況などの現況調査を行い、河川台帳の整備を進めてまいります。

さらに、近年、台風等による倒木で大規模停電が長期化し、住民生活に大きな影響を及ぼしていることを踏まえ、東北電力株式会社と締結している「災害時の協力に関する協定」に基づき、倒木による停電被害の未然防止のため、東北電力と連携し、樹木の事前伐採に取り組んでまいります。

 

次に、基本戦略5の「未来に羽ばたく人材を育てる」についてでありますが、

十和田図書館については、令和7年度のオープンを目指し、建築工事に着手してまいります。

このほか、教育に関する執行方針として、後ほど教育長から申し述べます。

 

次に、経営戦略1の「まちに人・モノ・外貨を呼び込む」についてでありますが、

関係人口の拡大については、「若者世代ふるさとネットワーク」鹿角家U25において、SNS等を活用した情報発信の強化に加え、ふるさと仕送り便の対象者を市外在住者に拡大することで、登録者の増加を図り、ふるさとへの愛着とUターン機運の醸成に取り組んでまいります。

地域間交流については、包括的連携協定を締結している東京都葛飾区との交流において、今月締結した「森林整備の実施に関する協定」に基づき、森林保全や地球温暖化防止にも連携して取り組みながら、さらなる交流を深めてまいります。また、市内全域を大学キャンパスに見立てた「鹿角キャンパス構想」を推進するため、包括的連携協定を締結している学校法人武蔵野大学との連携をさらに深め、本市での大学の活動を促進する「域学連携」の受入れ拡大を進めてまいります。

移住定住の促進については、引き続き首都圏での移住フェアやオンライン相談のほか、シングルマザーを対象とした移住体験ツアーを開催するなど、効果的な情報発信を展開してまいります。また、市内事業所とも連携しながら、子育てや仕事など、安定した生活を送ることができる環境を整えるほか、新たに民間賃貸住宅の家賃の一部を助成することで、若年層や子育て世帯を呼び込み、移住者のさらなる増加につなげてまいります。

魅力あるブランド農畜産品や高収益作物の生産拡大については、稲作中心から収益性の高い野菜や花きへの転換を図るとともに、主食用米から飼料用米などの新規需要米への転換を引き続き進めてまいります。

ブランド農畜産品のうち、シンテッポウユリをはじめとした花きについては、全国的な需要が高まる時期に合わせた出荷が可能であり、また、啓翁桜は冬期作物としても安定収入が見込まれることから、さらなる生産拡大に取り組んでまいります。

「かづの北限の桃」をはじめとした果樹については、樹園地のマッチングと第三者への承継にかかる費用の支援により、生産面積の維持・拡大を図り、果樹産地としての基盤を強化してまいります。

「淡雪こまち」については、国の「みどりの食料システム戦略」への対応を見据え、有機農業の足掛かりとして、引き続き、特別栽培米による作付けを支援してまいります。

かづの牛については、引き続き、頭数の維持・拡大を支援するとともに、枝肉出荷頭数100頭台の達成と早期GI登録に向け、関係機関や畜産農家と連携しながら、かづの牛のブランドの確立に取り組んでまいります。

付加価値を生み出す農産物加工の商品化については、農業者自らが農産加工品の開発や販路拡大を行う取組みを支援することで、経営の高度化や、生産と販売の産業間連携を推進してまいります。

農畜産物の消費・販路の拡大については、地域商社との連携により、販売環境の調査を継続し有利販売のための環境構築を行うことにより、農家の所得向上を目指してまいります。

稼げる観光振興に向けた滞在型観光の充実については、国立公園八幡平エリアにおいて大自然を満喫するサイクリングルートの設定やイベントを開催し、八幡平魅力アップ構想の取組みと一体となって国内外からの誘客を着実に進めてまいります。また、中滝ふるさと学舎での新たな体験メニューの提供や、十和田湖を眺望できる甲岳台展望台までのアクセス道路の再整備などにより、魅力の再構築を図りながら、宿泊者数の増加やリピーターの獲得につなげ、稼げる観光を体現してまいります。

DMOによる国際的観光地としての受入態勢づくりについては、観光客の満足度が高い持続可能な観光地づくりに向け、デジタル・マーケティングによる分析やプロモーションの展開により、市全体の観光プロデュース力を高めながら、観光消費額の増加につなげてまいります。また、インバウンドの誘客促進を図るため、新たなターゲット層である欧米豪向けの情報発信を強化するほか、市民とのコミュニケーションも含めホスピタリティあふれる上質な観光地づくりを進めるため、引き続き観光ガイドの育成に取り組みます。

次世代産業の創出については、今後、地方を拠点にした企業展開が見込まれる情報サービス業などをメインターゲットとして、企業誘致を推進してまいります。

エネルギー産業の育成については、2030年までのカーボンニュートラル達成を目指し、エネルギービジョンに加え、今年度策定する地球温暖化対策実行計画に基づく施策を展開するほか、総務省の「地域プロジェクトマネージャー制度」及び「地域おこし協力隊制度」を活用した専門人材の配置により、計画の着実な推進とエネルギー関連産業の活性化を図ってまいります。

 

次に、経営戦略2の「『世界遺産のまち』をつくる」についてでありますが、

世界遺産のまちづくりについては、本市が世界に誇る文化遺産を生かし、歴史や文化の魅力を体感できるツアーなどにより国内外からの誘客を図ってまいります。また、大湯環状列石の史跡及び大湯ストーンサークル館等の再整備に向けた計画の策定を進めていくほか、無形民俗文化財の担い手育成支援を積極的に進めながら、持続可能な文化財の保存活用を進めてまいります。

ヘリテージ・ツーリズムの推進については、大湯ストーンサークル館内に整備した3DCG映像やAR、アプリなどのコンテンツのほか、縄文食やまつり体験プログラムなどを最大限活用しながら、遺跡の魅力を積極的に発信し、国内外からの観光誘客に取り組んでまいります。また、世界文化遺産や3つのユネスコ無形文化遺産を含めた本市が誇る文化財を盛り込んだヘリテージ・ツーリズムのプロモーション展開のほか、大湯環状列石を会場に、縄文祭と市内の祭りを一堂に会した鹿魂祭を合同で開催するなど、「世界遺産のまち・かづの」としての認知度を向上させてまいります。

さらには、北海道・北東北縄文遺跡群が所在する市町村とは、現在、スタンプラリーやガイド研修の実施などを通じて連携しておりますが、今後は、こうしたつながりをより一層強化してまいります。

 

次に、経営戦略3の「まちの経営力を高める」についてでありますが、

未来技術の導入については、行政手続における利便性の向上を図るため、電子申請サービスの拡充を進めるとともに、行政事務におけるペーパーレス化や文書管理の電子化など、自治体DXを進めることにより、市民サービスの向上と業務の効率化を図ってまいります。

地域人材の育成、活動支援については、地域の課題解決やコミュニティの活性化に向けた取組みを強化するため、市長と地域住民が意見交換をする「地域づくりミーティング」を継続し、市民や地域との対話を重ねてまいります。また、地域の課題解決や、ミーティングにおける提案等を具体化するため、地域づくり協議会等が主体となった取組みを支援し、地域と共動しながらまちづくりを進めてまいります。

自治会活動の充実については、地域活動の維持と活性化を図るため、地域づくりリーダー研修会の開催や、自治会元気づくり応援補助金などによる支援のほか、集落支援員の増員により集落の話し合いや取組みをサポートする体制を強化し、地域資源を活用した集落の主体的な取組みを支援してまいります。

 

以上が、令和5年度に取り組む主な施策であります。

 

次に、諸般の報告について申し上げます。

 

はじめに、総務関係についてでありますが、

公約である透明で活力ある市政の実現に向け、官製談合の再発防止対策のため、第三者委員会や議会からの提言を踏まえ、入札監視委員会を立ち上げ、入札の透明性と公正性の確保に取り組んでいるところであります。また、かづの観光物産公社の経理状況について、調査・分析を行い、改善策等を提示して経営改善の取組みを促しております。

公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進につきましては、国からの指針や留意事項を踏まえ、現在、「鹿角市公共施設等総合管理計画」の改訂を進めております。今後、人口減少が進む一方で、インフラ資産の更新需要が高まっていくことが見込まれることから、必要な投資を確実に実施していくため、引き続き、公共施設等の適正管理に努めてまいります。

また、「いつでも市長室」などで地域からいただいた要望に応えた取組みとして、今年1月末に大湯地区の時報チャイムを再開いたしております。

出会い応援につきましては、去る1月29日に、出会いイベントを開催し、男性8人、女性5人が参加し、手軽に炭酸泉を楽しめる入浴剤作りやテーブルトークなどで交流を深め、3組のカップルが誕生しております。

ふるさと鹿角応援寄附につきましては、2月17日現在で、寄附件数は2万470件、金額では3億1,354万1,876円で、前年同期と比較し、42.0%増と大幅に増加しております。返礼品では、米やアップルパイ、鹿角ホルモンなどが人気で、今年度から始めた定期便やバリエーションの充実に加え、テレビの全国放送の反響が大きかったことも寄附の増加につながっているものと捉えております。引き続き、本市が誇る特産品の魅力を最大限に伝え、より多くの方々から応援いただけるよう取り組んでまいります。

鹿角市くらし応援商品券につきましては、令和4年11月1日現在で鹿角市に住所のある方を対象に、一人につき5,000円分を配付した商品券は、1月末で利用期限を迎え、2万8,602人に配付した総額1億4,301万円分の商品券のうち、96.6%にあたる1億3,820万2千円が換金されております。

 

次に、民生関係についてでありますが、

地域福祉につきましては、原油価格・物価高騰対策支援として、特に家計への影響が大きい住民税非課税世帯等へ、1世帯につき6万5,000円を給付する「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援事業」を実施し、1月末までを期限として確認書および申請の受付をいたしております。給付世帯数は、住民税非課税世帯が3,611世帯、課税世帯ではあるものの予期せず収入が減少し、非課税世帯相当になったとして申請のあった家計急変世帯が12世帯で、合わせて3,623世帯となっております。また、保育所、介護保険施設、障害者施設などの各福祉施設等についても、それぞれ原油価格・物価高騰対策支援事業を展開しております。

地域医療につきましては、昨年12月にかづの厚生病院と医療の現状と今後の展望について話し合いを行ったほか、今年2月には、鹿角の医療関係者と医療懇談会を開催し、鹿角の医療の現状と課題について情報共有を図っております。さらに、鹿角市郡医師会よりインカレのコロナ対策についてのご指導をいただいております。

昨年市の医療機関開設資金の支援により、4月からクリニックが開院する予定で準備が進められております。関係者のご尽力により、小児科、内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科の4つの診療科が開設される運びとなり、地域の医療環境の充実につながるものと大いに期待しているところであります。

新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、追加接種である3回目接種以降の接種希望者にオミクロン株対応ワクチン接種を実施しており、2月20日時点で、全人口に対して60.5%の接種率となっております。今年度の接種は3月31日までとなっておりますので、引き続き、医療機関での接種について周知に努めてまいります。

また、来年度からのワクチン接種については、国から具体的な方針等は示されておりませんが、今後の動向に注視しながら、適切に対応してまいります。

株式会社木下グループから協力をいただき運営している鹿角市指定PCR検査所につきましては、引き続き、感染状況等を見極めながら、日常生活の不安解消と社会経済活動の継続に向け、関係機関と連携しながら運営してまいります。

空き家対策につきましては、昨年10月下旬に、十和田錦木地内の空き家の一部が、隣接する住家に倒れこむ事案が発生いたしました。専門家による立入調査で、そのまま放置しておけば倒壊する危険性が極めて高いと判断されましたので、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、所有者に対して適正管理を求めましたが、改善が見られないことから、「空き家等対策協議会」において「特定空家等」に認定し、12月26日に空き家解体の行政代執行を宣言いたしました。

今後は、解体工事終了後に、所有者に対し、解体に要した全ての費用を請求する予定としております。

 

次に、農業関係についてでありますが、

令和4年産の主食用米の作付け状況につきましては、「生産の目安」である1,991ヘクタールに対し、作付面積は1,915ヘクタールとなり、生産の目安を達成した状況において、本市全体の収穫量は1万200トンと公表されております。

令和5年産米の「生産の目安」については、鹿角地域農業再生協議会において、全国的な米の需要に加え、在庫の動向や秋田県産米のシェア率などを勘案し、引き続き飼料用米などへの作付転換によって需給バランスを保つこととし、県の方針に即し令和4年産米の作付実績と同じ1,915ヘクタールと定め、JA等に提示しております。

りんごにつきましては、8月の度重なる大雨で適期防除に支障をきたしたことにより、病気やつる割れが発生し、秀品率の低下が懸念されていたものの、例年に比べ着果量が多かったことにより、1月末でのJAの集荷量は前年比約150%となっております。今後につきましても、取引きが増えている、ふるさと納税の返礼品の活用を図るほか、関係機関と連携しながら、香港や台湾への輸出分の拡大を図るなど、販売強化に取り組みながら果樹農家の所得向上につなげてまいります。

農地等災害の復旧状況につきましては、昨年8月の大雨災害の発生後、直ちに現地調査を行うとともに、秋田県や国との連携を図り、切実な現地の状況を担当部局に伝えたところであります。また、災害現場では農地等災害や公共土木施設災害が重複していることから、関係機関と連携しながら復旧事業の円滑な実施を図っております。

8月の大雨災害で被害を受けた農地・農業用施設及び林道施設の災害復旧事業については、国の査定が昨年12月15日に終了し、農地・農業用施設は54カ所で査定額3億8,153万7千円、林道施設は1カ所で査定額640万2千円となり、全体の査定率は98.9%でありました。年度内の完成が困難なものは、次年度へ繰り越して実施することになりますが、管理団体や関係機関等と調整を図りながら、早期の復旧に向けて取り組んでまいります。

森林経営管理制度につきましては、令和3年度より、鹿角森林組合に再委託していた玉内・小豆沢地区について、5,301平方メートルで搬出間伐を行い、木材販売の収益にかかる清算金を1月末に所有者に支払っております。木材販売の収益は206万1,439円で、経費等を差し引いた132万9,955円を森林所有者17人に還元しております。今後についても、関係機関と連携しながら制度の周知を図り、森林の経営管理を着実に進めてまいります。

有害鳥獣被害防止対策事業につきましては、今年度のクマの目撃件数は125件で、このうち被害は44件、農業被害額は78万7,000円でありましたが、特に、市街地での出没が頻発し、警察や関係機関等と連携して対応しております。

捕獲については、鳥獣法の特定鳥獣管理計画の捕獲と計画と実績に着目し、捕獲頭数の拡大を県に要請してまいりました。その後、全県における有害鳥獣の捕獲頭数枠が拡大されたことを踏まえ、さらなる被害を防止するため、延べ77基の箱わなを設置し、77頭を捕獲しております。また、捕獲の活動の中心となる鳥獣被害対策実施隊員の負担軽減を図るため、47人の鳥獣被害対策推進員が捕獲活動や被害防止対策を行っており、延べ100回出動いたしました。

市内では、ツキノワグマのほか、ニホンジカ、イノシシの目撃が増え、掘り返し等の被害が発生していることから、今後も機を逃さずに被害防止対策を実施するほか、捕獲技術の向上と普及啓発を図りながら、官民協働による鳥獣被害対策を推進してまいります。

 

次に、観光関係についてでありますが、

昨年11月、函館・津軽・秋田広域観光推進協議会に加入し、さらに、岩手県とは秋田県鹿角地域振興局とともに盛岡地域振興局と関係市町村と共同でリーフレットの作成を行っております。

令和4年の観光客数と宿泊客数につきましては、観光客数は約136万人で、前年比約30%増、宿泊客数は約19万人で、前年比約20%増となり、徐々に回復傾向が表れてきております。季節ごとの宿泊客数は、4月から5月の春の観光シーズンは前年同月比約40%増、市独自の観光応援事業がスタートした6月は前年同月比約30%増、9月から10月の紅葉シーズンは約20%増の入込み状況となり、大湯環状列石等を巡る教育旅行の増加も回復を後押ししております。

さらに、インバウンドの入込みも徐々に回復してきていることに加え、全日本学生スキー選手権大会等により、2月は一定の宿泊客数があるものと見込んでおります。今後につきましても、引き続き、観光客数や宿泊客数の動向を注視しながら、誘客促進に努めてまいります。

鹿角花輪駅と大館駅の間が運休となっているJR花輪線につきましては、既に発表されている4月から5月の運転再開に向け、現在は、特に被害が大きかった十和田末広の米代川護岸の復旧工事が進められております。

運休となって以降、直ちに秋田県とともに、花輪線の沿線の八幡平市、盛岡市、大館市、滝沢市と連携しJR東日本盛岡支社に対して早期復旧の要望を行い、八幡平市長、秋田県とともに、国土交通大臣への災害復旧要望を行い、その後、状況を都度確認しながら早期復旧に意を配しているところであります。JRをはじめ、関係者の尽力により、再開の見通しが立ってきておりますが、JR花輪線は、通勤・通学客をはじめ、本市の観光施策にかかすことのできない路線でありますので、復旧後を見据えて、利活用について花輪線利用促進協議会での検討を進めてまいります。

 

次に、商工関係についてでありますが、

市内の雇用情勢につきましては、昨年12月末現在のハローワーク鹿角管内の月間有効求人倍率は2.06倍で、前年同月と比較し、0.33ポイント上昇しております。新規求人は、建設業、医療・福祉などを中心に増加しているものの、新規求職者数は減少傾向にあり、有効求人倍率は7月から6カ月連続で2倍を超えており、人手不足の状況が続いております。

12月末現在における新規学卒者の就職希望者の状況については、縁故、公務員を除いた就職希望者53人のうち、90.6%にあたる48人の就職が内定しております。内定者のうち、県内は前年比28人減の29人で、内定率は85.3%となっており、さらにこのうち鹿角管内は前年比15人減の26人となっております。一方で、県外は前年比3人増の19人となり、内定率は100%となっております。少子化による新規学卒予定者の減少に加え、コロナ禍で敬遠されていた就職希望者の県外志向が、コロナ禍前の状況に戻りつつあるものと捉えております。

エネルギー施策の推進につきましては、地球温暖化対策推進法に基づく「鹿角市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の素案を取りまとめ、1月13日から2月13日までパブリックコメントを募集したところ、8人の方から34件のご意見が寄せられております。いただいた意見を踏まえて計画案を整え、今月中に計画を策定することとしております。

コロナ禍における経済・雇用対策につきましては、1月末で利用期限を迎えたプレミアム付商品券については、販売数の約97%にあたる4億1,048万500円が換金されております。また、再エネ・省エネ設備導入支援については、申請期限の1月末までに、65件の申請があり、総額で4,000万円の補助金の交付決定をしております。

かづの連泊クーポン券については、6,021枚の配布に対し、昨年6月から今年1月末までの利用は2,862枚で、利用率は47.5%にとどまりました。一方、市内で1,000円以上利用したレシートにより、宿泊代金の2,000円が割引となる宿泊キャンペーンについては、5カ月余りの間に8,656人の利用があり、これに合わせて実施した観光スタンプラリーも5カ月間で応募総数は8,433件にのぼり、相乗効果が表れたものと捉えております。今後も国の全国旅行支援の利用状況などを把握しながら、観光業界の需要回復に向けた取組みを展開してまいります。

 

次に、建設関係についてでありますが、

毛馬内住宅建て替え事業につきましては、建設工事の最終年度となる今年度は、全50戸のうち残る14戸と集会所の建設工事を実施し、住宅部分については1月6日に完成し、現在、入居者が移転作業を行っているところであります。なお、入居者が決定していない6戸については、今後入居者の公募を行うこととしており、早期の全戸入居に向けて取り組んでまいります。

公共土木施設災害復旧事業につきましては、8月の大雨で被災した道路及び河川について、国の査定が昨年12月1日に終了し、市道は8カ所で査定額1億2,956万6千円、河川は7カ所で査定額9,896万3千円となり、全体の査定率は99.4%でありました。全ての復旧工事を次年度へ繰り越して実施することとなりますが、早期の復旧に向け、工事発注等を進めてまいります。

 

次に、教育関係についてでありますが、

「令和4年度鹿角市二十歳のつどい」につきましては、去る1月8日、文化の杜交流館コモッセを会場に開催し、20歳から21歳の参加対象者267人のうち、177人が出席いたしました。参加対象者で組織した「二十歳のつどい実行委員会」が、準備から当日の運営を担い、積極的に参画いただきました。また、当日はオンライン配信も行い、一般の方を含め281人の方が視聴しております。今後も、未来を担う若い世代が、親交を深め、ふるさとの魅力を感じられる機会を創出してまいります。

スポーツによる交流人口の拡大につきましては、第96回全日本学生スキー選手権大会は、多くの関係者の皆様のご協力により、2月23日から26日までの日程で開催しております。今大会は感染対策を講じたうえで、有観客での開催としており、大学生スキー最高峰の大会で熱戦が繰り広げられております。

また、岩手県八幡平市で開催された国体において、選手団の宿泊施設として、鹿角市内の施設が連携して協力しており、各施策の広域連携を進めてきた鹿角市を評価していただいたものと、関係者に感謝申し上げます。

令和7年の国民スポーツ大会冬季大会の本市での開催については、今後県からの正式な要請を受けたのちに、関係者の皆様と協議を行いながら、開催について検討していくこととしており、引き続き、さまざまな競技会の開催を通じて、「スキーのまち鹿角」を全国に発信してまいります。

次に、本定例会に提案する補正予算の概要についてでありますが、

一般会計では、除雪委託料の追加、地籍調査委託料等の追加、米生産低コスト技術等導入支援事業費補助金の追加、道路補修工事費の追加、橋りょう補修工事費の追加、市債の繰上償還元利金の追加などのほか、実績見込みによる各事業費の調整を中心に編成いたしました。

その結果、補正額は初日議決分を合わせて245万2千円の増額となり、補正後の予算総額は211億5,380万1千円となりました。

このほか、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険事業特別会計では、債務負担行為の追加、上水道事業会計では、配水施設整備工事費等の減額、下水道事業会計では、流域下水道鹿角処理区建設費負担金等の減額など、実績見込みに基づく調整を中心にそれぞれ補正を行っております。

 

本定例会には、専決処分の報告案件1件、人権擁護委員の諮問案件1件、財産の処分案件1件、条例案件19件、補正予算案件7件、当初予算案件6件、あわせて35件のご審議をお願いいたしております。

詳細につきましては、それぞれの担当部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご可決賜りますようお願いいたします。

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