令和6年第2回鹿角市議会定例会(施政方針・行政報告)

更新日:2024年03月18日

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令和6年2月29日報告

令和6年第2回鹿角市議会定例会の開会にあたり、予算案及び提出議案の説明に先立ち、市政運営の基本方針及び私の所信並びに主要施策の概要を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

令和6年度は、第7次鹿角市総合計画前期基本計画の4年目を迎えるとともに、7月には私の任期も残り1年となります。

市政の推進にあたりましては、これまで、私の公約である「市民との対話」を通じて、さまざまなご意見やご提言をいただきながら、地域内の市民や団体とのつながりを強め、鹿角市の未来のまちづくりに向けて全力を尽くしてまいりました。

また、国や県、隣県、関係市町村との広域的な連携や交流を大切にしながら、まちづくりを進めていくための関係構築、体制整備に努めてまいりました。

この2年7カ月を振り返ってみて感じていることは、市民の信頼なくして市政の安定はないということであります。

今、市民が鹿角市政に注目し、大きな関心を寄せている時だからこそ、「政治は市民のもの。主役は市民。」という原点に立ち返らなければなりません。

市民が主役となり、安心して暮らせるまちづくり、共に輝く地域社会を実現させるために、徹底した情報開示と情報共有を通じて、透明で活力のある市政を体現していくことが私に課せられた使命であり、市民の皆さまとともに、改革を前進させていく覚悟であります。

本市が誇る自然や伝統文化、市民や地域とのつながりを大切にしながら、市民に笑顔と希望があふれるまちづくりを進め、将来都市像「ふるさとを誇り 未来を拓くまち 鹿角」の実現を目指してまいります。

さて、令和6年度当初予算についてでありますが、

第7次総合計画に掲げる5つの基本戦略と3つの経営戦略により、最重要課題としている「地域の稼ぐ力を高める産業振興」や「人口構造の若返り」、「カーボンニュートラルの目標実現」など、持続可能な地域社会の形成を目指すための予算といたしました。

「地域の稼ぐ力を高める産業振興」については、自動操舵システムを搭載した農業機械の活用などによるスマート農業の推進や、企業力向上アドバイザーによる伴走支援に加え、ソフトウェア等の導入支援により業務のDX化を推進します。

また、農畜産物のさらなるブランド化を進め、付加価値を高めることで収益の増加につなげてまいります。

観光では、新たに自家用有償旅客運送による観光客の利便性向上を図るとともに、DMOの体制強化、観光コンテンツを活用したプロモーションや営業活動支援に加え、外国人旅行者の受入態勢を強化し、誘客促進を図ります。

「人口構造の若返り」については、保育料の完全無償化や保育施設での主食提供などにより、子どもを産み育てる環境のさらなる向上を図ります。

また、地域活性化の核となる担い手を育成する人材育成講座の開催や、本市出身の鹿角家U25の活性化による新規会員獲得とUターン機運の醸成などに取り組み、若者の増加と定住の促進を図ります。

「カーボンニュートラルの目標実現」については、2030ゼロ・カーボンシティの実現に向け、専門的な知識を持つカーボンニュートラル推進マネージャーによる普及啓発や、地球温暖化対策実行計画の着実な推進を図ります。

また、市民センターや保育園、小中学校などの照明LED化を進めるとともに、事業所における省エネ機器への更新や家庭における高省エネ性能のエアコンと冷蔵庫の導入支援のほか、高効率な空調機器や照明機器の導入などを支援し、脱炭素化を推進します。

一般会計の予算規模は191億3,100万円で、前年度当初と比較して、3.6%の増となり、公営企業会計を除く特別会計の予算総額は、84億3,507万1,000円となりました。

以下、令和6年度の主要施策について、

第7次総合計画前期基本計画の体系に沿い、その概要を申し上げます。

はじめに、基本戦略1の「活力を生む地域産業・生業を支える」についてでありますが、

地域産業の成長支援につきましては、 効率的な農業経営の確立については、農業者の高齢化と労働力不足に対応するため、新規就農者の確保やスマート農業のさらなる普及を図ってまいります。

また、JAかづのとの連携によるマッチングアプリの活用の促進や、果樹栽培サポーターの育成と活動機会のマッチングにより、幅広い年齢層から農業に関わる人材を確保するとともに、経営体の雇用に係る意識醸成を促すことにより、経営基盤の維持・拡大を図ってまいります。

農業経営体の経営安定と競争力強化については、今年度整備したRTK基地局の活用による省力化・低コスト化を推し進めながら、農業農村支援機構を核とした経営サポートにより経営の効率化を図るとともに、担い手への農地の集積・集約化により、農業経営体を育成し競争力を高めてまいります。

農業生産基盤の整備については、県営ほ場整備事業に採択される見込みの毛馬内北部地区において、実施設計が行われるほか、柴内地区と神田・道下タ地区において、新たな基盤整備に向けた事業計画の策定と調査が進められることから、関係機関と連携して農地集積等の事業を推進してまいります。

また、現在県営事業で実施している花輪大堰や八幡平の一の渡頭首工、十和田の末広頭首工などについて、県と連携して関係者の理解を得ながら整備を進めてまいります。

林業の振興については、森林経営管理制度に基づき、十和田岡田・黒森山・瀬田石地区で航空レーザ計測及び森林資源解析を行うとともに、花輪内山・長野地区の経済林の再委託を実施するほか、草木・長野地区の現地調査や十和田大湯地区の森林所有者に対する意向調査を実施し、森林の適切な経営管理を進めてまいります。

また、引き続き北鹿地域林業成長産業化協議会に参画しながら、地域間の連携強化や情報収集のほか、林業施策の企画立案を行うとともに、森林認証を取得した鹿角市産材の活用について連携して取り組んでまいります。

市内事業者の労働生産性向上を目指した取組みの強化については、DX推進計画の策定や設備の高度化を支援してまいります。

市民等の意欲のある就労・就農支援につきましては、 農林業の担い手育成と定着支援については、農業法人へのインターンシップや、市独自の研修制度により、新規就農の促進と早期の経営確立に向けたサポートを充実させることにより、新規就農者の定着を図ってまいります。

林業への就業支援については、地域林業の将来の担い手を確保し、市内の林業事業体の体制基盤を強化するため、新規林業従事者を雇用する林業経営者への支援のほか、地元林業事業体への就職を目指して秋田県林業大学校に通学している学生の家賃や受講料への支援により、地域林業の活性化と雇用促進を図ってまいります。

また、林業従事者の安全装備品の購入を支援し、林業労働者の現場作業における安全確保を継続してまいります。

女性や若者の就業促進については、ITを活用した副業を促進するとともに、資格取得に対する支援などにより、所得向上を図ってまいります。

市内外からの産業の担い手確保につきましては、 産業人材の確保については、鹿角公共職業安定所をはじめとする関係機関との連携による地元就職の促進や、企業の求人活動と大学生のインターンに要する費用を支援するとともに、新たに外国人材受入のための住環境の整備を支援するなど、国内外からの人材確保に向けた取組みを進めてまいります。

第147回秋田県種苗交換会については、鹿角トレーニングセンター・アルパス周辺を主会場に、令和6年11月1日から5日までの5日間の日程で開催いたします。

種苗交換会は、県内外から多くの来場者が見込まれる農業の祭典であり、地域経済への波及効果が大きい一大イベントであることから、関係団体と連携しながら地域全体で開催の準備を進めてまいります。

次に、基本戦略2の「元気で健やかな暮らしを支える」についてでありますが、

地域福祉の充実については、令和6年度から10年度までを計画期間とする第3期鹿角市地域福祉計画に基づき、初年度となる令和6年度は、新たに重層的支援体制整備事業に取り組んでまいります。

複雑化・複合化した福祉課題や、制度の狭間にある課題への相談支援のさらなる充実を図るため、介護、障がい、子ども・子育て、困窮の各分野の縦割りの垣根を低くすることで、よりスムーズな連携体制を整え、参加支援などの事業を通じて、地域で支え合う体制を構築してまいります。

心身の健康づくりの取組みにつきましては、 人間ドック等の推進については、若年層のがん検診の個人負担金助成を継続し、受診しやすい環境を整えることにより、がんの早期発見、早期治療につなげるとともに、新たに20歳、30歳の歯周病検診を追加し、歯及び口腔の健康の保持・増進につなげてまいります。

こころの健康づくりについては、第2期自殺対策計画で目標に掲げている5年後の自殺者ゼロを目指し、取組みを推進してまいります。自殺は、個人の問題ではなく、社会全体の問題であることから、「子ども・若者への支援」、「働き盛り世代・高齢者への支援」、「生きやすい価値観の醸成」、「相談機関へのアクセス」を重点施策として、自殺対策のさらなる強化を図ってまいります。

感染症予防については、乳幼児のおたふくかぜワクチンと成人の帯状疱疹ワクチン接種費用助成や、子宮頸がんワクチンの接種を継続して行い、疾病の発症や重症化予防を図ってまいります。

また、新型コロナウイルスワクチン接種については、今年度で全額公費負担による特例臨時接種が終了しますが、重症化予防の観点から65歳以上の高齢者や小児及び妊婦の方などを対象に、接種費用の一部助成を行ってまいります。

適切な医療を受けられる体制の整備につきましては、 地域医療体制の充実については、秋田県の二次医療圏再編によって、新たな医療圏による枠組みが開始されますが、引き続き、岩手医科大学や弘前大学等の関係機関に協力をいただきながら、鹿角地域の医療体制の維持を図ってまいります。

また、医学生修学資金貸付事業や医療機関開設資金支援事業の継続のほか、岩手医科大学に設置している寄附講座事業を通じた医療職の魅力を発信する取組みにより、将来、本市で医療職に従事して活躍する人材の確保を図ってまいります。

結婚の希望を叶えるための応援につきましては、 これまでの独身男女の出会いイベントの開催に加え、女性参加者が結婚に対する意欲を高め、自信やスキルを身につけられるよう、新たに女子力向上セミナーを開催します。

また、新婚夫婦の経済的負担の軽減を図るため、住居費等の支援を継続し、若い世代が結婚の希望を叶えられるよう応援してまいります。

地域ぐるみの子育て支援の充実につきましては、 子育て支援については、国の保育料無償化の対象とならない世帯に対し、市独自の助成により対象を拡大して、約9割の児童について保育料を無償化してまいりましたが、来年度からは所得制限を撤廃し、保育料の完全無償化を実施してまいります。

また、保育園等において、来年度から、市独自の助成により3歳以上児の主食を無償で提供し、現在行っている副食費の無償化と合わせて、完全給食の完全無償化を実現してまいります。これにより、就学前の保育等に関する経済的負担を大幅に軽減し、子育てしやすい環境のさらなる充実を図ってまいります。

さらに、4月からは、福祉保健センター内に、新たに「こども家庭センター」を設置し、すべての妊産婦、子育て世帯、子どもから若者までの相談支援を一体的に行う体制を整えてまいります。

これまでの子育て支援全般に加え、支援を必要とする子どもや妊産婦等へのサポートプランを作成し、要保護児童対策地域協議会などの関係機関と情報共有するなど、子育てにおける相談支援機能のさらなる充実・強化を図ってまいります。

高齢者のいきいきとした暮らしの支援につきましては、 高齢福祉については、高齢者福祉タクシー利用の助成を拡充することにより、高齢者の社会参加の促進を図るとともに、見守りネットワークや救急情報キットの配付、見守り電話の導入支援などにより、高齢者が安心して暮らすことができる取組みを継続してまいります。

介護予防事業については、「福祉の相談窓口」である地域包括支援センターの相談支援体制の強化などに取り組むことにより、高齢者の地域生活を支援してまいります。

次に、基本戦略3の「快適で安らぎのある暮らしを守る」についてでありますが、

衛生的で良好な生活環境の確保につきましては、 水道水の安定供給については、浄水場の設備更新のほか、花輪浄水場と十和田浄水場の建物の老朽化が進んできていることから、令和6年度からの3カ年で、水道施設全体の整備計画を策定し、老朽化対策を進めてまいります。

また、山根前田地区など4カ所において老朽管更新工事を実施し、計画的な水道施設の更新に努めてまいります。

生活排水対策の充実については、引き続き八幡平小豆沢地区の農業集落排水施設を公共下水道へ接続するための管渠布設工事を進め、下水道事業の経営の安定化を図ります。

また、公共下水道整備認可区域外の生活排水処理対策を進めるため、引き続き合併処理浄化槽の設置を推進してまいります。

安全・安心な住まいづくりにつきましては、 空き家等の適正管理の推進については、今年度実施した空き家実態調査に基づき、空き家所有者に対する適正管理の指導や、危険老朽空き家の解体費用の助成を継続するとともに、管理不全な空き家の解消と発生抑制に取り組んでまいります。

住環境の向上については、市営住宅における屋根・外壁の改修工事や老朽化している住宅団地の集約化などの長寿命化対策を進めるほか、民間住宅における脱炭素化に向けた断熱改修などの住宅改修や、中古住宅の利活用に対する支援により、居住環境の向上を図ってまいります。

地域にあった公共交通手段の確保につきましては、 地域公共交通の確保については、鹿角市地域公共交通計画に基づき、市民にとって利用しやすく、将来にわたって持続可能な公共交通体系の構築に取り組むほか、バス利用の拡大を図るため、新たに定期券・回数券の購入助成を行うなど、生活バス路線の確保に継続的に取り組んでまいります。

また、来年度に開校する鹿角高校と鹿角花輪駅間のバス路線に対する支援により、鹿角高校に通学する生徒の交通手段の確保を図ってまいります。

緑と水の生えるまちの環境保全につきましては、 農地の保全については、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮に向け、地域共同で行う農村集落活動の活性化や農村環境の保全と機能向上に資する取組みの支援を継続してまいります。

森林環境の保全については、皆伐後の新植や間伐に対する支援により、森林資源の有効活用と再循環を促しながら、持続的な経営と保全を図ってまいります。

また、県と連携して、八幡平上山田地区に高性能生産団地路網を計画的に整備するなど、林業生産コストの低減と搬出間伐等の森林の施業・保育、原木の安定供給を図ってまいります。

有害鳥獣被害防止対策については、住宅地などでクマの出没が多発していることから、来年度から、クマを誘引する栗や柿の木の伐採に対する補助制度を新たに創設し、集落や住宅地におけるクマの誘引物を減らしていくことにより、人身事故等の防止を図ってまいります。

また、引き続き市民への迅速な情報提供や注意喚起を実施するとともに、目撃が増えているイノシシやニホンジカへの対策として、くくり罠の捕獲技術の向上によって捕獲体制を強化し、鳥獣被害の拡大防止を図ってまいります。

木育推進事業については、森林資源を活用した体験活動のほか、木材や木製品との触れ合いを通じて森林資源の豊かさや魅力等を発信するとともに、幼児への木製玩具の贈呈を通じて、幼少期から木に触れ合う機会を提供することにより、広く地場産材の魅力を啓発し、需要喚起を図ってまいります。

次に、基本戦略4の「暮らしの安全・安心を高める」についてでありますが、

災害への対応力のある地域づくりにつきましては、 自主防災組織の育成と組織力強化への支援を継続するほか、秋田焼山火山防災マップ及び洪水ハザードマップの作成により、防災意識と地域防災力の向上を図ってまいります。

また、秋田県内陸北部における大規模地震を想定した発災時の防災対策について、秋田県と連携し、専門家を交えながら調査・検討を行ってまいります。

火災や救急に対する体制の強化につきましては、 消防施設・設備の充実と効率化については、十和田地区における消防力及び防災力を維持するため、老朽化が著しい十和田分署の移転整備を進めてまいります。

また、高規格救急自動車に搭載している救急資機材の更新を行うとともに、医療機関との連携強化を進めることにより、救急対応力の向上を図ってまいります。

消防団活動の充実と活性化については、消防団員の活動の安全性の向上のため、活動服等の装備品の更新や、消防団活動拠点施設及び消防資機材等の整備を進めることにより、消防団員の士気の向上と消防団活動の活性化を図ってまいります。

災害に強いまちの基盤整備につきましては、 地域住民の安全・安心な社会基盤の構築については、強風等での倒木による停電を未然に防止するため、東北電力との「災害時の協力に関する協定」に基づき、樹木の事前伐採を行うことにより、ライフラインの確保を図ってまいります。

道路、橋りょう等の防災インフラの整備については、道路橋の点検や堰の口橋の補修などの橋りょう長寿命化対策のほか、河川整備事業や急傾斜地崩壊対策事業などにより、引き続き防災インフラの整備を推進してまいります。

次に、基本戦略5の「未来に羽ばたく人材を育てる」についてでありますが、 教育に関する執行方針として、後ほど教育長から申し述べます。

次に、経営戦略1の「まちに人・モノ・外貨を呼び込む」についてでありますが、

人や地域の活力を生む交流の促進につきましては、関係人口の拡大については、地方に関心のある首都圏住民から、本市の地域課題に取り組む関係人口になってもらえるよう、新たに関係人口育成講座を開催してまいります。

また、鹿角家U25については、ふるさと仕送り便を継続するとともに、包括連携に関する協定を締結している株式会社?木ビルの所有施設を核として、交流活動の活性化を図りながら、新規会員の獲得とふるさとへの愛着、Uターン機運の醸成に取り組んでまいります。

地域間交流による交流人口の拡大については、包括的連携協定を締結している学校法人武蔵野大学との連携をさらに深め、来年度、国内で初めて設置される「ウェルビーイング学部」の研究活動を積極的に誘致するとともに、大正大学など多様な大学との連携を図りながら、市内全域を大学キャンパスに見立てた「鹿角キャンパス構想」を推進してまいります。

移住定住の促進については、首都圏での移住フェアのほか、ガイドブックのリニューアルやSNS等の活用を強化しながら、効果的な情報発信を展開してまいります。

また、市内事業所と連携し、市内に一定期間滞在して仕事などを体験できる滞在型のプログラムを新たに実施することにより、移住者のさらなる増加につなげてまいります。

販売重視型農業と6次産業化の推進につきましては、 魅力あるブランド農畜産品や高収益作物の生産拡大については、稲作中心から収益性の高い野菜や花きへの転換を推進するとともに、米価の安定に向け、引き続き主食用米から飼料用米などの新規需要米への転換を進めてまいります。

ブランド農畜産品のうち、シンテッポウユリをはじめとした花きについては、本市の冷涼な気候特性により、全国的に需要が高まる時期に合わせた出荷が可能であり、また、啓翁桜については、冬期作物としても安定収入が見込まれることから、さらなる生産拡大に取り組んでまいります。

「かづの北限の桃」をはじめとした果樹については、樹園地のマッチングと第三者への承継にかかる費用を支援することにより、生産面積の維持・拡大を図り、果樹産地としての基盤を強化してまいります。

「淡雪こまち」については、省力化栽培と高付加価値化をさらに進めていくため、引き続き特別栽培米による作付を支援してまいります。

かづの牛については、昨年度に枝肉出荷頭数が初めて100頭を超えたことから、次なる目標としている枝肉出荷頭数120頭台の達成に向け、引き続き頭数の維持・拡大を支援するとともに、かづの牛のGI登録に向け、関係機関や畜産農家と連携しながら進めてまいります。

付加価値を生み出す農産物加工の商品化については、農業者自らが農産加工品の開発や販路拡大を行う取組みを支援することにより、経営の高度化とともに、生産と販売の産業間連携を推進してまいります。

稼げる観光振興の推進につきましては、 市全体を観光資源として生かした滞在型観光の充実については、八郎太郎三湖伝説による広域連携により、関係自治体や団体等と祭りの合同イベントを開催してまいります。

また、移動の利便性の向上を図るため、十和田八幡平予約型観光路線バス「八郎太郎号」の運行に加え、少人数の利用が可能で利用時間にも柔軟性がある移動手段として、新たに自家用有償旅客運送による車両運行を開始してまいります。

このほか、JR花輪線を活用したツアーを継続的に開催することにより、利用促進を図るとともに、甲岳台展望台までのアクセス道路の再整備により、観光資源としての魅力の再構築を進めながら、宿泊者数の増加やリピーターの確保を図り、稼げる観光を体現してまいります。

また、秋田県とJR東日本が連携して実施する冬季観光誘客にかかる大型観光キャンペーンに参画し、冬季観光の需要喚起により誘客を図ってまいります。

DMOによる国際的観光地としての受入れ態勢づくりについては、地域DMOに、新たに小坂町を加え、地域連携DMOに拡充することにより、鹿角エリアのプロデュース力を高め、的確なデジタル・マーケティングによる分析やプロモーションを展開し、観光消費額の増加につなげ、持続可能で満足度の高い観光地づくりを進めてまいります。

また、インバウンド誘客を強化するため、引き続きアジア圏及び、欧米豪向けの情報発信に取り組むほか、市民のコミュニケーション能力やホスピタリティの向上による上質なかづの観光を提供できるよう、引き続き観光ガイドを育成してまいります。

次世代産業の創出への取組みにつきましては、 エネルギー関連産業については、2030年までのカーボンニュートラル達成を目指し、地球温暖化対策実行計画及びエネルギービジョンに基づく施策を展開しながら、エネルギー関連産業の活性化を図ってまいります。

エネルギー産業の育成については、ワークショップの開催や先進地視察を通じて、再生可能エネルギーで生成した水素の利活用の情報収集を行うとともに、市内関連事業者の機運を醸成してまいります。

また、脱炭素化のPRや脱炭素行動事業者の認定制度により、地球温暖化対策実行計画の推進に向けた意識の向上を図ってまいります。

再エネ導入については、県内で唯一採択されている国の重点加速化事業の交付金を活用し、太陽光をはじめとする再エネ電源の開発、企業や家庭への再エネ設備や熱利用機器の導入の支援のほか、市民や事業者が行うCO2の削減効果が高い省エネ機器への更新や省エネ性能の高い家電購入を支援することにより、環境と生活の質の向上とグリーン経済の活性化を図ってまいります。

EV導入の推進については、普及のための施策を定めるマスタープランを策定するとともに、EVをより身近に感じてもらうための講演会や試乗会、展示会などを引き続き開催してまいります。

また、新産業に関する誘致については、企業誘致戦略に基づき、新たにサテライトオフィス視察ツアーなどを実施し、情報サービス業をメインターゲットとした企業誘致を推進してまいります。

次に、経営戦略2の「『世界遺産のまち』をつくる」についてでありますが、

ヘリテージ・ツーリズムへの取組みにつきましては、 世界遺産のまちづくりについては、世界遺産、無形文化遺産や文化財を観光活用し、ヘリテージ・ツーリズムとしてプロモーション展開し、国内外からの観光誘客に取り組み「世界遺産のまち・かづの」としての認知度の向上を目指してまいります。

また、今年度、農林水産省の「和食」ユネスコ無形文化遺産登録10周年を機に開催したシンポジウムをきっかけとして、来年度は、郷土料理をテーマとしたイベントを開催することにより、地域の「食」の魅力を観光コンテンツとして積極的に活用し、誘客につなげてまいります。

次に、経営戦略3の「まちの経営力を高める」についてでありますが、

未来技術の導入につきましては、 行政事務におけるペーパーレス化や電子決裁の拡充など、自治体DXを進めることにより、市民サービスの向上と業務の効率化を図ってまいります。

多様な主体の力で共に発展するまちづくりの推進につきましては、 地域人材の育成、活動支援については、引き続き、地域づくり協議会等が主体となる地域づくりミーティングの開催を継続するとともに、地域自らが課題解決に向けて取り組み、地域の活性化が図られるよう、地域主体の活動を支援してまいります。

自治会活動の充実については、地域活動の維持と活性化を図るため、地域づくりリーダー研修会の開催や、自治会元気づくり応援補助金などによる支援のほか、集落支援員が集落の課題整理や話し合いをサポートしながら、地域資源を活用した主体的な取組みを支援してまいります。

以上が、令和6年度に取り組む主な施策であります。

次に、諸般の報告について申し上げます。

はじめに、総務関係についてでありますが、

市ホームページのリニューアルにつきましては、 去る2月1日から本市の伝統技法である「紫根染」をイメージしたデザインにリニューアルいたしました。

操作性、検索性を高め、いつでも、誰でも、欲しい情報を得られやすいようにするため、新たに、チャットボット機能、手続き検索ナビ機能、ごみ分別検索ナビ機能等を追加するとともに、LINE公式アカウントを開設し、ホームページの機能向上と発信力の強化を図っております。

出会い応援につきましては、 去る12月23日に、出会いイベント『第8回かづの縁結び~スイーツブッフェ交流会~』を開催し、男女各12人が参加し、5組が連絡先を交換しております。また、2月18日には、『第9回かづの縁結び~ハーブティーづくり体験交流会~』を開催し、男性8人、女性6人が参加し、3組が連絡先を交換しております。

ふるさと鹿角応援寄附につきましては、 2月25日現在で、寄附件数は1万9,673件、金額では3億7,098万292円となっており、寄附額は前年同期と比較しまして、16%の増となっております。

10月からの制度改正に伴い、寄附金額を値上げしたことにより、秋以降は月別の件数が前年度を下回っている状況にあることから、返礼品取扱業務委託事業者及び返礼品協力事業者と連携し、経費率のさらなる見直しなどにより、これまで以上に、多くの方々から本市を応援いただけるよう取り組んでまいります。

移住の促進につきましては、 2月1日から、新たに、東京都出身の男性と鹿児島県出身の女性の2人の移住コンシェルジュが着任し、一昨年から着任している移住コンシェルジュと合わせて3人体制となりました。

引き続き、積極的な情報発信や、NPO法人と連携したきめ細かなサポート体制の充実を図りながら、移住の取組みを推進してまいります。

次に、民生関係についてでありますが、

電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援事業につきましては、 住民税非課税世帯に対する7万8,000円の給付については、12月27日付けで対象となる3,644世帯に通知書を発送し、1月26日から給付を開始し、今月22日時点で、3,477世帯への給付が完了しております。

また、均等割のみ課税世帯に対する1世帯あたり10万円の給付については、2月14日に対象となる840世帯に確認書を発送し、確認書が返送された世帯には、3月8日から順次、給付を行ってまいります。

住民税非課税世帯及び均等割のみ課税世帯への18歳以下のこども1人につき5万円を加算するこども加算給付については、対象となる世帯に対し3月上旬に通知書を発送する予定としております。

空き家実態調査につきましては、 新たな空き家や既存空き家の状況を確認するため、今年度、市内全域を対象に、調査員による現地調査を実施いたしました。

現地調査により、建物の構造や破損の程度、敷地内にある家屋以外の構築物の状況確認のほか、立木の腐朽、植物の繁茂などについて評定し、調査結果を点数化して総合的な適正管理度レベルを判定しております。

その結果、空き家の総数は、1,377件となり、前回の平成30年度の調査と比較して、42.2%の増となりました。今回の調査結果を基に、空き家台帳を更新するほか、空き家対策特別措置法などに基づく必要な措置を講じながら、所有者の適正管理に向けた意識啓発に取り組んでまいります。

次に、農業関係についてでありますが、

令和5年産の主食用米の作付け状況につきましては、本市の「生産の目安」である1,915ヘクタールに対し、作付け面積は1,990ヘクタールで、生産の目安をわずかに超えた状況となり、本市の収穫量は1万700トンと公表されております。

令和6年産米の「生産の目安」については、米価の回復傾向や2年連続の不作等による在庫量の減少で、需給環境が良好な状態にあることから、鹿角地域農業再生協議会では、県の方針を踏まえ、令和5年産の「生産の目安」から57ヘクタール増の1,972ヘクタールと定め、方針作成者であるJA等の集荷団体に提示しております。

引き続き飼料用米や高収益作物への作付転換などを促しながら、需要に見合った生産を推進してまいります。

リンゴにつきましては、4月下旬の霜害により一部の品種において、着果量に影響が大きく出たことや、7月から8月の高温により早生種や中生種に日焼け、着色不良が見られたほか、晩生種の収穫直前の鳥獣被害の影響により、1月末でのJAへの集荷量は前年の約50%でありました。

今後につきましても、ふるさと納税の返礼品への活用のほか、香港や台湾への輸出分の拡大など、関係機関と連携しながら、さらなる販売強化を図り、果樹農家の所得向上につなげてまいります。

農地等災害の復旧状況についてでありますが、 令和4年8月に発生した豪雨で被災した農地・農業用施設及び林道施設の災害復旧事業につきましては、全55カ所のうち、完成が19カ所、工事施工中が20カ所で、発注率は70.9%となっております。

入札不調等により、16カ所で発注に至っていない状況にあることから、設計単価等の見直しを行いながら進めてまいります。

また、一部については、年度内完成が困難なことから、来年度に繰り越して実施することになりますが、関係農家等と調整を図りながら、早期の復旧に向けて取り組んでまいります。

次に、観光関係についてでありますが、

令和5年の観光客数と宿泊客数につきましては、 観光客数は約164万人で、前年比約20%の増、宿泊客数は約20万人で、前年比約5%の増となり、回復基調が続いております。

また、季節ごとの宿泊客数は、春の観光シーズンを控えた3月は前年同月を約70%上回ったほか、4月及び6月は前年比約40%増、8月の祭りシーズンは前年比約35%増となるなど、顕著な増加が表れております。

インバウンドについては、今年度の台湾トップセールスにおいて、秋田空港チャーター便の開始を見据えて本市が行ったPRが功を奏し、道の駅かづの、あんとらあの「みそ付けたんぽ体験」が人気となり、入込みが増加しております。このほか、先日まで開催された全日本学生スキー選手権大会により、2月の宿泊客数は一定の入込があったものと捉えておりますので、引き続き観光客数や宿泊客数の動向を注視しながら、誘客促進を図ってまいります。

次に、商工関係についてでありますが、

市内の雇用情勢につきましては、 昨年12月末現在のハローワーク鹿角管内の月間有効求人倍率は1.56倍で、前年同月と比較して0.5ポイント下回っているものの、高止まりが続いております。

新規求人は、建設業や医療・福祉などを中心に増加していますが、新規求職者数は減少傾向にあり、人手不足の状況が続いております。

また、12月末現在における鹿角管内3高校の新規学卒者の就職状況は、縁故、公務員を除いた希望者61人のうち90.2%にあたる55人の就職が内定しております。

内定者のうち、県内は昨年比7人増の36人、うち鹿角管内は昨年比1人増の27人で、県外は昨年と同数の19人となっております。

関係団体による高校への働きかけや、地元企業の積極的なPR活動が、管内就職者の増加につながったものと捉えており、引き続き、管内就職への意識醸成を図ってまいります。

物価高騰対策につきましては、 昨年11月末までを使用期限としていた「くらし応援プレミアム付商品券」については、2万4,481人分の商品券が購入され、商品券の総額の約99%にあたる2億4,270万2,000円が換金されました。

温暖化防止のための意識醸成につきましては、 企業や団体へ脱炭素行動を促すために今年度創設した「脱炭素行動事業者認定制度」については、2月末現在で11件の事業者を認定しております。

認定した事業者は、節電や節水、省エネや再エネ設備導入など、模範となるような脱炭素行動を実践しておりますので、引き続き市の広報やホームページで広く周知し取組みの裾野を広げてまいります。

今後につきましても、CO2排出量の削減など優良な取組みを行っている事業者の表彰を通じて脱炭素の機運と意識を醸成し、官民一体となってカーボンニュートラルの達成を目指してまいります。

次に、建設関係についてでありますが、

公共土木施設災害復旧事業につきましては、 令和4年8月の豪雨で被災し、通行止めとなっている十和田末広地区の界橋について、今年度復旧工事に着手し、今年6月の通行止め解除に向けて工事を進めております。

また、同じく被災した十和田草木地区の丑道下タ橋については、今年度設計を実施しており、来年度から2年間の計画で復旧工事を進めてまいります。

このほか、被災によって通行に支障がある橋りょうにつきましても、順次復旧に向けた準備を進めてまいります。

次に、教育関係についてでありますが、

令和5年度鹿角市二十歳のつどいにつきましては、 去る1月7日、文化の杜交流館を会場に、昨年度までと同様に、20歳から21歳の方を参加対象者として開催いたしました。

また、運営にあたっては、参加対象者で組織した「二十歳のつどい実行委員会」が、準備段階から記念行事の企画運営、当日の司会進行を担うなど、積極的に参画いただいております。

当日は、対象者275人の70.9%にあたる195人が出席したほか、感染症対策で実施したオンライン視聴に、一般の方も含めて212人から参加いただいております。

今後も、未来を担う若い世代が、親交を深め、ふるさとの良さを感じられる機会を創出してまいります。

スポーツによる交流人口の拡大につきましては、 「第97回全日本学生スキー選手権大会」は、三笠宮彬子女王殿下をお迎えし、予定通り2月16日から19日までの日程で開催いたしました。

雪不足の影響から、連日、関係者の皆様に、早朝からのコース整備等にご尽力いただき、全ての競技を実施することができ、各競技で熱戦が繰り広げられました。

来年度は国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会の開催を予定しており、こうしたさまざまな全国規模の競技会を積極的に開催しながら、「スキーのまち鹿角」を全国に発信してまいります。

次に、本定例会に提案する補正予算の概要についてでありますが、

一般会計では、生活バス路線運行費補助金や自立相談支援事業委託料、農業水利施設整備事業費負担金、林業新規就農者雇用助成金、農業用施設災害復旧工事費などの追加のほか、実績見込みによる各事業費の調整を中心に編成しております。

その結果、補正額は初日議決分を合わせて5,328万8千円の減額となり、補正後の予算総額は211億2,764万2千円となっております。

このほか、国民健康保険事業特別会計、介護保険事業特別会計及び上水道事業会計では、債務負担行為の追加、下水道事業会計では、下水道管渠整備工事費の減額など、実績見込みによる補正を行っております。

 本定例会には、人権擁護委員の諮問案件5件、鹿角市過疎地域持続的発展計画の変更案件1件、条例案件11件、上水道事業会計の建設改良積立金の目的外使用に関する案件1件、補正予算案件7件、当初予算案件6件、あわせて31件のご審議をお願いいたしております。

詳細につきましては、それぞれの担当部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご可決賜りますようお願いいたします。

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